快勝ドルトムント。香川真司の言葉に表れた復活の兆し

  • 了戒美子●文 photo by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 2月7日のフライブルク戦、ドルトムントが3-0で待望の勝利をつかんだ。第14節ホッフェンハイム戦(12月5日)以来、実に6戦ぶりの勝利。香川真司はその瞬間、ピッチで仲間たちと喜びを分かち合うことができた。香川のリーグ戦でのフル出場は第8節ケルン戦(10月18日)以来のことになる。

 その口調はなんだか、しみじみとしていた。

「こういう感覚はすごく長く得られなかったことだから......。ただ、こんなことで一喜一憂している暇はないので、無理にでも切り替えたいです。ただ、気分は悪くないですね」

フライブルク戦に先発フル出場した香川真司フライブルク戦に先発フル出場した香川真司 試合後のアドレナリンが出た状態、まだ興奮からさめない状態でのインタビューでは、選手は早口になりがちだ。だがこのときの香川はことさらゆっくりと、噛み締めるように言葉を選んでいった。もちろんこの1勝でこれまでの低調な結果が解消されるわけではないし、順位が上がったとはいえまだ16位に過ぎない。それでも「ほっとした」という気持ちには共感できた。

 ただ、そこで疑問がわいてくる。その「悪くない」という感覚はチームの勝利に対するものなのか、個人のパフォーマンスに対するものなのか、それとも様々なものが入り交じっているのか。何しろチームも香川自身も、会心の結果を出せたのは昨年9月13日の復帰戦以来といっていいくらい、久々のことだからだ。

「チームとしてもそうですし......」と言う香川は、一旦間を置き、こう続けた。

「まあチームとして、が大きいのかな、やはり」

 自分のプレイに言及するのかと思ったのだが、そうではなかった。

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