飛込・馬淵優佳が振り返る、父・馬淵崇英に初めて反抗した日 現役引退後に父が涙ながらに語った言葉とは (2ページ目)

  • text by Sportiva

――嫌いだった飛込についても、今ではいい思い出になっているんですね。

 今では飛込をやってよかった、競技をしてきてよかったと思っています。一度目の競技人生の時は、やらされていたという感覚でした。ほかにやりたいことがありましたが、「できないだろうな」と諦めていて、自分で何かを決断することができなかったんです。それは自分の性格的なところも要因のひとつとしてありました。

 当然ですが、復帰するかどうか悩んだ時に、いろんな壁がありました。競技を離れて4年が経っていましたし、子どもがふたりいて家庭もありました。金銭面、所属先の面など、本当にクリアすべき問題がたくさんありました。

 復帰を決断した時には、父にも反対されましたが、初めて自分の意志でそれを押しきりました。競技を支援してくれる人がいなくても、自分のお金でやり繰りする覚悟を決めて前に進みました。

 その時に気づいたんです。自分はこんなにも飛込をやりたかったんだと。環境を変えてまでやりたかったんだと。そして覚悟を決めて行動に移していったことで、不安に思っていたこと、いろんな壁がすべて解決されていきました。本当にこれは支えてくれた周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。そして再び競技に飛び込んで行けた自分に対して自信もつきました。

 パリ五輪出場を目指してやってきて、結局出場できず、すごく悔しかったです。ただ今感じるのは、こんなにも大きな決断を自分ができたこと、その決断に責任を持ってできたことは、この先の人生で起こるさまざまな苦難や壁に対して、強く生きていける糧になったと思っています。

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