大橋悠依が笑顔満開。「もう泳げない」孤独感から脱出できた要因は (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 前向きに話す大橋だが、実は400mを辞めたいと思ったことがあるという。4種類の泳法を100mずつ泳ぐ400m個人メドレーは、肉体的にも精神的にもやはりきつい種目なのだ。

 2019年世界選手権では、メダル確実と思われていた200mで、調子を合わせられず6位という結果だったうえに、泳法違反で失格。そこで気持ちが一気に落ちてしまった。6日後の400mではなんとか銅メダルを獲得したものの、この種目で日本人選手が自分1人しかいない孤独感が暗い気持ちに追い討ちをかけた。レース前の招集所では、「こんなきつい種目はもう泳ぐことができない」と思い詰めていたという。

 それでも辛抱強く400m個人メドレーと向き合う中で、大橋の救いになったのが、3歳年上の清水咲子だった。ISL後に大橋と同じ平井伯昌コーチの指導を受けるためにチームに合流したことだった。清水は、リオデジャネイロ五輪400m個人メドレーに出場し8位入賞の頼もしい存在だ。 

「400m個人メドレーは1回うまく泳げないレースをしてしまうと、その感覚が残ってしまい、次のレースで引きずってしまう感じがあるんです。でも、咲子さんはレースの前にいつも『一緒に頑張ろう!』と声をかけて気持ちを奮い立たせてくれる人で、招集所に彼女がいるとすごく明るくなるんです。

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