大橋悠依が笑顔満開。「もう泳げない」孤独感から脱出できた要因は (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 (昨年の)12月に私が平井チームの合宿に行けなかった時も、LINEでいつも『調子はどう?』と連絡をくれたり、どういう練習をしているかも教えてくれました。それに年末に私がチームに戻った時も、すごく入りやすいように接してくれたのでスムーズに復帰することができました」

 同じ種目でライバルでもあるふたりだが、互いに一方の調子が悪い時には「頑張ろう」と声をかけて高め合える関係。さらに練習中でも互いの得意種目が違うため、それぞれの視点で泳ぎのアドバイスをし合っているという。大橋は「咲子さんがいなかったら400m個人メドレーをやめていたかもしれない」とまで言う。

 平井コーチは、そんな大橋についてこう話す。

「練習不足ということもあって北島康介杯の時はすごく疲れていましたが、彼女はISLや世界選手権でもそうだったように、疲労さえ抜けば結果を出せる選手。だから、そこはうまくコントロールできると思います。昨年に比べてスピードも出てきているので、これからしっかり練習に取り組んでいけば、結果も出るのではないかと思います」

 今年のジャパンオープンは東京五輪の代表選考大会のひとつであり、今年4月の日本選手権を新型コロナの影響で欠場した選手は、ここでの記録も選手選考の条件に組み込まれることになっている。今回、大橋はその予備条件をクリアして2冠を達成。ここから、新たな意欲を持って笑顔で再スタートを切った。

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