2020.05.29

瀬戸大也が初五輪で知った金の重み
「大舞台で力を出し切った人が獲るもの」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Insidefoto/AFLO

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第12回 競泳・瀬戸大也
リオデジャネイロ五輪 400m個人メドレー(2016年)

 アスリートの「覚醒の時」――。

 それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

 ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪での活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか......。筆者が思う「その時」を紹介していく――。

リオ五輪の400m個人メドレーでは、同世代の左から瀬戸大也、萩野公介、チェイス・カリシュの3人が金メダルを争った  瀬戸大也は2019年世界選手権で、個人メドレーの200mと400mで優勝して東京五輪内定を勝ち取り、200mバタフライでも銀メダルを獲得した。いまや名実ともに日本競泳界のエースとなった彼の飛躍のきっかけは、オリンピック初出場の2016年リオデジャネイロ五輪だった。

 瀬戸には、幼い頃から同学年のライバル・萩野公介という存在がいる。中学2年で出場したJOCジュニアオリンピックカップ400m個人メドレーで、瀬戸は萩野に初勝利をおさめたが、萩野は高校1年でパンパシフィック選手権の代表に入ると、高校3年の2012年にはロンドン五輪に出場。400m個人メドレーで銅メダルを獲得し、ライバルは常に瀬戸の一歩先を行っていた。

 萩野はさらに、2013年の日本選手権で個人メドレー200mと400mで日本記録を更新。史上初の5冠を達成して日本のエースに成長した。8月の世界選手権では800mリレー以外の個人で5種目に出場し、そのすべてで決勝進出を果たした。そして、400m自由形と200m個人メドレーで銀メダルを獲得する充実ぶりを見せた。