【水泳】3冠の17歳・渡部香生子。「やっとスタートラインに立てた」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Nakamura Hiroyuki

 現在17歳の高校3年生、渡部香生子が、4月10日から13日に開催された水泳日本選手権競技大会で3冠を達成した。

10日 100m平泳ぎ 優勝1:06.53(高校新)
12日 200m個人メドレー 優勝 2:11.04
13日 200m平泳ぎ 優勝 2:21.09(高校新)

日本選手権で3冠を獲得した渡部香生子は現在高校3年生日本選手権で3冠を獲得した渡部香生子は現在高校3年生 とくに、10日の100m平泳ぎは、ロンドン五輪銅メダリストの鈴木聡美を相手に隙のない泳ぎを見せての価値ある優勝。この日午前中の予選で1分06秒96の高校新記録をマークしていた渡部は、前半から隣のレーンの鈴木と競り合うと、50mを0秒03先着して折り返し、後半もジリジリと差を広げる安定した泳ぎ。1分06秒53で高校新をさらに更新し、鈴木に0秒55差をつける会心の優勝だった。

「日本選手権は初優勝ですし、聡美さんと一緒に泳いでの優勝なので嬉しいですね。予選の高校新は久しぶりの自己ベスト。その前のベストは中3の時の記録(1分07秒10)で、それをなかなか上回れていなかったのですごく嬉しかったです」

 渡部は、当時中学3年生だった11年のジャパンオープンで、平泳ぎ50m、100m、200mの3種目を中学新で優勝して一気に注目された。そして、12年ロンドン五輪では平泳ぎ200mで代表になり、大舞台での経験を積み(結果は準決勝敗退)、さらなる成長が期待されていた。

しかし、昨年の日本選手権では100m平泳ぎと200m個人メドレーで2位になったが、派遣標準を突破できず、平泳ぎ200mはB決勝で8位と低迷。将来性を評価されて200m個人メドレーで7月の世界選手権代表にはなったが、本番では100m平泳ぎとともに結果を出せなかった(200m個人メドレーは11位、100m平泳ぎは予選27位)。

 そんな中、昨年5月から、かつて背泳ぎの中村真衣(2000年シドニー五輪100m背泳ぎ銀メダル、4×100mメドレーリレー銅メダル)を指導した竹村吉昭コーチに指導を受けるようになった。

「とりあえずは、彼女が持っている力を出せるようにしただけ。あとは、去年の夏は世界選手権から帰ってくると熱を出して練習ができなかったですが、今年はオーストラリア遠征から帰ってきてすぐ練習ができましたから、体力がつきましたね」

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