【水泳】3冠の17歳・渡部香生子。「やっとスタートラインに立てた」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Nakamura Hiroyuki

 そう話す竹村は、感情の起伏が激しく、練習でいい時と悪い時の差が大きい渡部に対し「苦しい時こそ笑顔でいよう」と話し、積極的にコミュニケーションをとったという。渡部は竹村コーチとの国立スポーツ科学センターを拠点にした練習で、少しずつ安定した泳ぎができるようになってきていたという。

「今年の1月31日からオーストラリアのパースであった五カ国対抗戦(オーストラリア、中国、南アフリカ、ブラジルとのチーム戦)の初日の100mがダメ(5位)で『どうすればいいか不安』というメールがきていたんです。でも、翌日の200mでは、記録は2分25秒01(3位)とたいした事はなかったけど、自分がやってきた事を確認することでまずまずの泳ぎができた。ダメな時に自分で建て直す事ができるようになったのが、進歩だと思います。去年までは肘の故障もあったが、体の使い方が良くなったせいで痛みもなくなり、うまく泳げていますね」

 竹村コーチがこう話すように、次の遠征だった2月28日からのオーストラリアNSWオープンで、渡部は初日の100m平泳ぎで3位になると、2日目は100mバタフライのB決勝を泳いだすぐ後に、200m平泳ぎで2分22秒46の高校新を出して優勝。最終日には200m個人メドレーで2分10秒65の日本記録を樹立した(2位)。

 日本選手権3日目の200m個人メドレーでは「両隣が最初から速かったので、平泳ぎで頑張ってしまって自由形が少し遅くなった」と反省するが、大きく先行していた寺村美穂に0秒09差まで迫ると、最後の自由形で逆転し、2分11秒04で優勝して2種目目の代表内定を決めた。

 そして、最終日は本人も「メインの種目」と話していた200m平泳ぎ。かつてのように最後に追い上げる展開ではなく、最初から日本記録保持者の鈴木聡美と金藤理絵をリードするレース。ジワジワと差を広げてゴールし、2位の金藤に0秒49差をつける2分21秒09の高校新で3冠を達成した。

「3冠も達成できて、タイムも思っていた以上のものが出たので、とても嬉しいです。本当にこの大会は最後まで気が抜けなかったですが、最初から最後までいい泳ぎができて結果も良かったので、自信になったなと思います。今日は日本記録まで0秒37だったのでそこは少し悔しいけど、やっと世界と戦えるレベルになってきたと思うので、日本新記録は次にとっておいて、頑張りたいと思います」

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