【水泳】女子メドレーリレー「一緒にメダルを」が合言葉になった (2ページ目)
そんな3人の結束に、ロンドンでは追い風が吹いた。鈴木聡美の平泳ぎでの銅メダル獲得だ。
自由形やバタフライでは、日本の選手は外国人選手とのパワーの差をなかなか克服できない。その分を平泳ぎで稼ぐのが、男子でも証明されたパターンだ。そこが少しだけ足りなかったのだが、鈴木がそれを補ってくれる存在へと急成長した。
すべてが整ったことで、彼女たちの心は熱くなった。第1泳者の寺川は、100mでは先着されたオーストラリアのシーボムを0秒02抑え、58秒99の2位でつないだ。続く鈴木はロシアのエフィモアに抜かれたものの、オーストラリアのジョーンズを抜いて3位につけた。加藤も自己記録レベルの泳ぎでつないだ。寺川から「大丈夫だから」と励まされて飛び込んだ最後の上田は、50mの折り返しでロシアのポポワに抜かれて4位に落ちながらも、そこから執念で盛り返して3位でゴールした。
「これを目指していたので、これ以上のうれしさはない。このメンバーなら必ず結果を出せると、みんなで何回も何回も、何をしなければいけないかを話し合いました」
寺川はこう言うと、満面の笑みを浮かべた。
「このチームで戦えてよかった」
第1泳者 寺川綾(背泳ぎ)
1984年11月12日、大阪府生まれ。
100mの銅に続いてのメダル獲得。
特にメドレーリレーでのメダルは長年の夢だったと喜びを爆発させた。
「懇親の力でつなげました」
第2泳者 鈴木聡美(平泳ぎ)
1991年1月29日、福岡県生まれ。
200mで銀メダルを獲得した15時間後にはメドレーリレーの予選がスタート。
だが疲れたそぶりも見せなかった。
「日本はチーム力が一番高かった」
第3泳者 加藤ゆか(バタフライ)
1986年10月30日、愛知県生まれ。
北京五輪でもメドレーリレーに出場、日本新にもかかわらず6位だった。
「一緒にメダルを持ち帰りたかった」
第4泳者 上田春佳(自由形)
1988年4月27日、東京都生まれ。
自由形の日本のエースで、北京五輪では200mに出場している。
『Sportiva ロンドン五輪・速報&総集編』(2012年8月17日発売)より転載
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