【水泳】女子メドレーリレー「一緒にメダルを」が合言葉になった
右から第1泳者・寺川綾、第2泳者・鈴木聡美、第3泳者・加藤ゆか、第4泳者・上田春香プレイバック ロンドン五輪/女子400mメドレーリレー
100m背泳ぎで銅メダルを獲得した寺川綾は、集まった記者たちにこう宣言した。
「これが締めじゃないですからね!まだメドレーリレーの第1泳者として、チームを流れに乗せる役割が残っていますから」
もうひとつのメダルを本気で狙っていることがはっきりとわかった。
「メダルを狙える、メダルと狙えるとさんざん言ってるのに、本人たちはなかなか信じてくれないんですよ」
日本代表の平井伯昌(のりまさ)ヘッドコーチがこんな愚痴めいたことを口にしたのは、昨年の世界選手権の会場だった。この大会のメドレーリレーで、日本は3位のオーストラリアに0秒71遅れるだけの5位だった。
敗因のひとつには、寺川の不振があった。100mで5位にとどまった悔しさをリレーにぶつけてくれればと期待していた。だがタイムは低迷。チームを流れに乗せられなかった。結果を見た寺川は「私さえしっかり泳いでいればメダルだった」と言って泣き出した。このときのメンバーに対する申し訳ない気持ちが、ロンドン五輪では200mを回避し、100m一本に絞る理由のひとつにもなった。
寺川にはもうひとつの動機もあった。100m自由形の日本記録を持つ上田春佳と、100mバタフライの日本記録を持つ加藤ゆかは、平井コーチの下で一緒に練習を積むチームメイトだった。「3人で一緒にメダルを獲ろう」、それが彼女たちの合言葉になった。
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