【水泳】五輪男子400mメドレーリレー、最高のチームはこうしてできた

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

この種目で初の銀メダルを獲得した、右から入江陵介、北島康介、松田丈志、藤井拓郎この種目で初の銀メダルを獲得した、右から入江陵介、北島康介、松田丈志、藤井拓郎 五輪では過去2大会、平泳ぎの北島康介がチームを牽引して、銅メダルを獲得している男子メドレーリレー。その国の競泳の総合力が問われる種目だけに、選手たちの意識は高い。ロンドンヘ向けて「今度こそ金を」との掛け声は高かった。

 だが、その前途は暗澹(あんたん)としていた。4月の日本選手権では4×100mフリーリレーが五輪派遣標準記録を突破できず、自由形短距離のスペシャリストが足りないチーム構成になってしまったのだ。

 さらに100mバタフライでは藤井拓郎が派遣標準記録を破れず、メドレーリレー要員としてのみ代表に加わることになった。北京五輪のメドレーリレーにはバタフライで出場した藤井は、100m自由形の日本記録保持者でもある。そんな彼が自由形を泳げばバタフライが手薄になり、バタフライを泳げば自由形がいなくなるピンチだった。

 その穴を埋めようとメンバー入りを狙ったのが、200mバタフライで銅メダルを獲得した松田丈志だ。競泳の選手なら誰もが、メドレーリレーのメンバーに入ることに憧れる。松田は200mでのスピード強化という目的もあり、日本選手権でも100mに出場した。だが強豪国の第3泳者と競り合うだけのタイムを出せるかどうかは未知数だった。

 さらにロンドンに入ると新たな不安も生まれた。大黒柱の北島の調子が上がっていなかったのだ。

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