【水泳】初の五輪で銅メダル。高校生スイマー・萩野公介の恩師が語った「大物感」
ライアン・ロクテ(アメリカ)、ティアゴ・ペレイラ(ブラジル)、に次いで3位に入った萩野公介「本当にたいした奴で、練習の時からちょっと違うなと感じるんです。高校生なのに大人に対しても気軽に話しかけてきて、年齢差にも動じないというか。選手たちは『あいつは新人類なんです』というんですよ。新人類っていつの話だ、って気もしますけどね」
競泳日本チームの平井伯昌ヘッドコーチにそう言わせるのは、17歳の萩野公介だ。男子では00年シドニー五輪の北島康介以来の高校生代表だが、競泳初日の28日にいきなり大きな仕事をした。競泳の中で一番最初の種目である男子400m個人メドレー予選の第3組に出場すると、自身が4月の日本選手権で出した日本記録を0秒25更新する2分10秒01で泳ぎ、予選トップ通過を果たしたのだ。
「場内はすごい声援だったので『五輪は予選からこんなにすごいんだ』と思って楽しみながら泳ぎました。記録は日本新だけど、あくまで自己ベストととらえて、決勝でも更新できるようにしっかりと頑張ります。最後の自由形がもっとあげられたと思うので、少し余裕はあったと思います」
レース後平然と答えた萩野は、夕方からの決勝でも再び場内を驚かせた。
最初のバタフライは5位通過だったが、得意の背泳ぎではひとり先行するライアン・ロクテ(アメリカ)に次ぐ2位になった。続く平泳ぎでは3位に下がったが、0秒24差で怪物・マイケル・フェルプス(アメリカ)に追いかけられる展開。誰もが北京の200m自由形王者のフェルプスの逆転を信じた。
だが350mではその差を0秒42に広げ、ゴールでは0秒34差に抑えて逃げきり、銅メダルを獲得。記録は4分08秒94のアジア新記録だった。
「300mをターンした時にはフェルプス選手が僕より後ろにいたから、あまり調子が良くないのかなと思いました。でもフェルプス選手は自由形が強いので必死でしたね。ただそれよりは、ティアゴ・ペレイラ選手(ブラジル)が前にいたので、それについて行こうと思って。最後まで彼に追いつかなかったから、それが悔しいですね」
相手の調子がよくなかったとは言え、怪物・フェルプス越えは世界のどの選手でも目標にしていたもの。それを初対戦でアッサリと果たしておきながら、萩野は「フェルプス選手はこれからもっともっと記録を出して来るので、僕はまだまだ頑張らないとダメです」と、淡々とした口調で話す。
1 / 2