【大学駅伝】全日本で過去最高3位、箱根へ弾みの創価大 エースは「今回の創価の駅伝、見ていて面白くなかったですか?」 (3ページ目)
【5区、6区に見えた中間層強化の成果】
1年生が経験を積み、エースが役割を果たして強豪校と渡り合った。箱根に向けて、収穫の多いレースだった。榎木監督は、その手応えをこう語る。
「目標も目的も、おおかた達成できたので、チームとしての収穫は大きかったですね。駅伝そのものでいえば、前半4区までは60点ぐらいの出来で、5区から8区までは95点ぐらいの点数をあげてもいいかなと思います。全体ですと、今回の駅伝は80点ぐらいですね。前半の流れがよく、100点であれば、優勝は厳しいですが、(2位の)國學院大と競るぐらいのタイムは出せたと思いますし、背中を見て戦えたと思います」
過去最高の3位を手にした一方、上位との差も浮き彫りになった。優勝した早大とは5分57秒、2位の國學院大とは2分23秒差。頂点への道のりは、まだ長い。
その差を縮めるには、エースの力だけでなく、中間層の厚みが欠かせない。1年前の全日本で7位に終わったあと、小池は「中間層の力が足りない」と語っていた。今回のレースを経て、その課題をどう捉えているのか。
「昨年は中間層の力が足りず、主力以外が出ると後手後手に回る展開が多かったんですけど、あれから1年間、夏を含めて、いろいろ強化をしてきました。今回、5区、6区がしっかりとシードの位置でつなげたのは、その賜物だと思います。また、昨年の全日本で5区を走った衣川(勇太・2年)や、齋藤(一筋・3年)、石丸(修那・3年)がハマってくれば、選手層により厚みが出てきます。箱根は総力戦になるでしょうし、だいぶ面白い戦いができると思います。今回の創価の駅伝、見ていて面白くなかったですか?」
小池は、そう言って自信をのぞかせた。ただ、選手層の充実に手応えを感じる一方、上位校との差は冷静に受け止めている。
「早大と國學院大がちょっと抜けていますし、すぐ後ろにも強いところがいますからね。でも、早大がいつも前だと、見ている側も面白くないじゃないですか。(早大の選手に)『ヤバい』と思わせられれば焦りが生まれるので、くらいついていきたいですね。それができれば面白い展開になると思います。ただ、自分たちも一歩間違えると7位、8位になり、シード権争いになってしまう。そこは危機感を常に持ちながら戦闘態勢を整えていかないといけないと思っています」
榎木監督も、箱根に向けて気を引き締める。
「今回は3位で目標を達成できたんですけど、箱根はハーフの距離を戦える選手をそろえないといけないので、もう一度、土台づくりから始めていかないといけないですね。箱根は10時間41分58秒という総合タイムを目標にしていますが、それをクリアできれば必然的に順位も3位以内につながってくると思うんです。あの(2021年の第97回大会の)箱根準優勝以来、箱根でのトップ3は近そうで遠い順位になっているので、全日本3位を箱根でもう一度再現できるように、ここからチーム強化をしっかりやっていきたいと思います」
その10時間41分58秒は、創価大が箱根駅伝の各区間で刻んできた歴代チーム最高記録を合計したタイムだ。
箱根駅伝も、早大を軸とする展開が予想される。創価大が上位に食い込むには、相手を意識しすぎず、自分たちのレースを貫くことが大切になる。10人が着実に襷をつなぎ、両エースの小池とムチーニ、そして織橋、山口らが持ち味を発揮する。その積み重ねが、2021年以来となるトップ3への道を開く。悲しみを胸に臨んだ全日本で過去最高の3位をつかんだ榎木監督は、箱根でその先の景色を見据えている。
著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。
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