来年の箱根駅伝で下剋上を起こせそうな大学は? 全日本大学駅伝・関東地区選考会ではっきり分かれた明暗 (3ページ目)
【東農大の大エース・前田和摩の無念】
12位の東京国際大(箱根16位)は、2組目で主将の久保遼人(4年)が38位だったのが響いた。4組目にリチャード・エティーリ(4年)がいるとはいえ、勝負どころの2、3組目で、上を狙う姿勢がもうひとつ感じられなかった。エティーリ以外の選手層が薄く、現状のままでは箱根の予選会は厳しい戦いになりそうだ。
箱根の予選会に向けて、期待が膨らむのが14位の芝浦工業大(箱根予選会敗退)だ。徳本一善監督の2年目、4年生が2名しか出場しない一方、1組21位の大関星斗、2組25位の田中敬とルーキーふたりが好走。後藤秀波ら2年生が調子を上げていけば、チームに勢いが増す。前回18位だった箱根予選会でどこまで順位を上げていけるか、非常に楽しみだ。
立教大(箱根20位)は、2年前の選考会は突破したが、今回は15位。8人中5名が30位以下で、3組17位の原田颯大(4年)や同28位の伊藤匠海(4年)ら"走るべき人"が走れないと苦しい展開になる。馬場賢人(現ヤクルト)や國安広人ら主力が抜け、チーム再建となる今季、髙林祐介監督がエースの育成と分厚い選手層の構築というミッションをどこまで高いレベルでできるか。
東京農業大(箱根18位)も期待が高かったが、18位に終わった。レース後、エースの前田和摩(4年、4組7位)が「僕以外、やってやろうという姿勢を見せる選手がいなかった。僕が必死になって頑張っている姿を見て後輩たちも何か感じるものがあったらいい。最後なのでチームに何か残したい」と悔しそうな表情で話をしているのが印象的だった。
勝負していかないといけない2、3組でそういうレースができない状態を前田は歯痒く感じていたのだろう。今後、"前田頼み"を脱することができるか、箱根の予選会突破はそこがキーになる。
城西大(箱根7位)は、3組で主将の中島巨翔(4年)が脱水症状により残り80mで競技続行不能となり、本戦出場を逃した。ただ、1組の小田伊織(4年)が6位、2組の正岡優翔(3年)が10位、村尾恭輔(2年)が13位、3組の小林竜輝(3年)が6位、さらに4組の柴田侑(4年)が5位と快走、同じく4組の橋本健市(3年)は24位だったが、予選突破するだけの力は十分にあった。
箱根駅伝は前回7位でシードを獲得しているので予選会はなく、強化に時間を使える。エース柴田を生かすためにも、卒業したヴィクター・キムタイ(現埼玉医科大学グループ)のような強い留学生の育成、中間層の引き上げができれば、100回大会(2024年)の総合3位のような旋風を巻き起こすことは可能だろう。
著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。
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