【箱根駅伝2026】渡辺康幸が分析する「5強」の勢力図 初優勝を狙う國學院大学、優勝候補・駒澤大学、対抗・青山学院大学の強さは? (3ページ目)
【青学大はエース黒田を筆頭にやっぱり強い!?】
――では、青学大について印象をお願いします。
渡辺 箱根駅伝といえば、もう青山学院です。調整パターン、箱根で勝つメソッドが確立しています。青学大は「今回は厳しい」と言われたときこそ、必ず箱根に合わせてきます。過去11回のうち8回勝っていますし、今年度も出雲、全日本は獲れていませんが、昨年度も同じ状況で臨んだ箱根で、総合力の違いを見せつけました。
――ただ、山の2区間を支えてきたふたりは卒業しました。
渡辺 前回まで山区間で圧倒した若林宏樹選手、野村選手が抜けたことは大きいですけど、危機感を持って、上野山拳士朗選手(1年)をはじめ1年生をしっかりと育ててきています。若林選手の1年時と同じくらい走ってくると踏んでいますので、何もなければ優勝戦線には間違いなく来ると思います。
――2区は黒田朝日選手という絶対エースがいます。
渡辺 おそらく2区でトップに立つ可能性はかなり高いですし、3・4区は飯田翔大選手(2年)ほか10000m27分台に走っている選手も複数いるのでどういう配置になるかは何ともいえませんが、先頭に出したら青学は強いので。
――これまでの勝ちパターンです。
渡辺 逃げてしまうんですよね。だから逃がさないよう、ライバルは3・4区に強力な選手を置いてくるはずですし、その力を備えた選手も多い。だから、過去のように青学も簡単には逃げられないと思います。
スターター(1区)は荒巻朋熙選手か宇田川瞬矢選手(ともに4年)と予想しますが、黒田選手に次ぐ10000mのタイムを持つ折田壮太選手(2年)、また、前回の8区・塩出翔太(4年)、同10区・小河原陽琉(2年)という区間賞獲得者もいますので、復路も強い布陣で臨めます。
中編を読む>>>渡辺康幸が分析する覇権争いの行方 中央大は山区間の課題をクリアして頂へ 早稲田大は2区・5区の強み生かして往路に賭ける
⚫︎プロフィール
渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)/1973年6月8日生まれ、千葉県出身。市立船橋高-早稲田大-エスビー食品。大学時代は箱根駅伝をはじめ学生三大駅伝、トラックのトップレベルのランナーとして活躍。大学4年時の1995年イェーテボリ世界選手権1万m出場、福岡ユニバーシアードでは10000mで優勝を果たし、実業団1年目の96年にはアトランタ五輪10000m代表に選ばれた。現役引退後、2004年に早大駅伝監督に就任すると、大迫傑が入学した10年度には史上3校目となる大学駅伝三冠を達成。15年4月からは住友電工陸上競技部監督を務める。学生駅伝のテレビ解説、箱根駅伝の中継車解説でもおなじみで、幅広い人脈を生かした情報力、わかりやすく的確な表現力に定評がある。
著者プロフィール
牧野 豊 (まきの・ゆたか)
1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。22年9月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。
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