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【箱根駅伝】学生個人10000ⅿでVの駒澤大・伊藤蒼唯は「Ggoat」効果で「やっと1番が取れた」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【駒大の目標は2022年度以来の駅伝三冠】

 伊藤にとって、今回のレースを勝ちきれたことは大きな自信になっただろう。タイムを出すことも大事だが、やはり勝負レースは「勝ってなんぼ」であり、伊藤が目指すのも「速く、強い選手」だ。

 残念ながらユニバへの出場はかなわなかったが、今後は7月の日本選手権5000ⅿの申込資格記録(13分38秒00)、さらには13分30秒切りを目指すことになる。

 そして、夏の合宿を経て、秋からは駅伝シーズンだ。駒大は山川拓馬(4年)が主将を務め、伊藤、佐藤、帰山侑大ら4年生が支えていくことになる。

「山川は、たぶん周りから見たらほわほわしてると思うんですけど、チームのこともしっかり見てくれますし、キャプテンの責任感というのは、前回の箱根が始まる前からその雰囲気が出てきていました。それが今、チームをまとめるうえで出ているので、すごくいいキャプテンだと思います。ただ、山川に頼りきるのではなく、自分たちが山川を支えて進めていけたらと思っています」

 伊藤は最上級生になり、これまで以上に後輩たちの面倒を見るようになった。練習を俯瞰し、自分より設定(タイム)が下の後輩たちの動きを見て、「こうしたほうがいい」とアドバイスすることもある。

 また、昨年の夏は、主将の篠原がチームの戦力を引き上げるためにGgoatの海外合宿に帯同せず、大学での合宿に参加したことでチームが活気づき、変わる様を見てきた。今季は自分たちがそういう存在にならなければという意識が強い。

「チームについては、僕らの学年が駅伝に関してはかなり本数を走っているので、引っ張っていかなければいけないのは当然ですし、自分たちもそのつもりでシーズンに入っています。昨年に比べて1年生が元気よくレースに出て、練習もやってくれるので、今のところうまく進んでいるかなと思います。僕の学年が中心となって、最後、目標を達成したいですね」

 今季の駒大の目標は、2022年度以来の三冠達成だ。伊藤が身につけつつある「強さ」が個人種目はもちろん、駅伝でも発揮されれば、チームが勝ちきることにつながっていくだろう。

著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。近著に「箱根5区」(徳間書店)。

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