箱根駅伝を識者3人が総括 青学大が見せた強さや他校の誤算、壮絶なシード権争いを振り返った (3ページ目)
シード権争いは今回も熾烈だった。そのなかで法大は、5000m・10000mで大学記録を塗り替えた大島史也の不在もあって、今回は15位と振るわなかった。63年ぶりのシード権を期待された立大も、往路を8位で折り返したが、復路で13位まで弾き出された。
一方、東京国際大は2区のリチャード・エティーリで波に乗ったとはいえ、9、10区で再浮上してのシード権獲得は素晴らしかった。東洋大は2区に登録された梅崎蓮を欠きながら9位に入り、20年連続シードを確保。全日本で13に沈んだが、チームは底力を発揮した。前回9位の帝京大も往路14位から最後は総合10位にピタリと合わせてきた。
ピーキングに苦しむかと思われた中大は、10000m27分台のタイムを持つ選手を並べた1~3区のロケットスタートが見事だった。藤原正和駅伝監督は調整法に自信を得たようで、来年の箱根駅伝では今回以上の"スピード駅伝"を披露してくれるだろう。
【シード権を獲得できなかった大学も力を見せた】
■折山淑美(スポーツライター)
(予想) (結果)
1)青山学院大 1)青山学院大
2)國學院大 2)駒澤大
3)駒澤大 3)國學院大
4)創価大 4)早稲田大
5)早稲田大 5)中央大
6)中央大 6)城西大
7)帝京大 7)創価大
8)城西大 8)東京国際大
9)大東文化大 9)東洋大
10)法政大 10)帝京大
往路に自信があった青学大は、1区と3区が少し伸び悩んだとはいえ、2区と4区は期待通りの走りをした。そして山の5区と6区はともに区間新で、追いかけてくるライバルとの差を大きく広げる走り。大きなミスがない盤石の走りを見せての総合優勝は、多くの人が想定していただろう。選手たちも、箱根には自信を持っていることを感じる。
それを追いかけた駒大も、自信を持っていた5区で青学大に大きく差を開かれる誤算はあったが、藤田敦史監督が復路勝負のキーマンとして起用した7区・佐藤圭汰がきっちり走り、その後も2年生が着実につないだ。往路で打つ手がなくなった昨年とは違い、往路主要区間で1年生に経験を積ませられた上に、復路優勝の達成、総合タイムを青学大と2分48秒差にとどめたのは次につながる。國學院大も、3冠のプレッシャーのなかで、往路では出遅れながら総合で3位。さすがの総合力の高さを見せた。
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