箱根駅伝「3強崩し」ならずも、早稲田大・花田勝彦監督がつかんだ確かな手応え「瀬古さんにも『山がいるうちに勝たないとな』と言われました(笑)」 (2ページ目)
【青学大との10分差をどう縮めるか】
――9区は戦前、キーマンのひとりに挙げていた石塚選手でしたが、区間15位と苦戦しました。
「なんとか箱根に間に合わせてくれたのですが、9区は23.0㎞と距離が長いので事前にプランを話し合いました。後半が勝負なので、前半はブレーキをかけないようにしながらも、ある程度は流れに乗っていきつつ、余裕を持っていこうと送り出したのですが、最初の3㎞でペースが上がらない感じで、5㎞から10㎞はかなりペースダウンしてしまいました」
――8区がスタートする時、4位の國学院大には1分29秒の差をつけていましたが、9区が終わる鶴見中継所では1秒差まで詰められました。
「國學院大は復路に強いメンバーを残していましたが、それでもアンカーにタスキが渡った時点で30秒くらい差をつけられていれば、3位は狙えると思っていました。そういう意味では石塚のペースが上がらずに予想よりも早く追いつかれてしまったのは残念でした」
――10区は3年連続となる菅野選手。前回大会は区間5位で、今回は調子も良かったと聞いています。最後は國学院大に突き放されてしまいましたが、区間5位の安定した走りでした。
「私が(2022年に)監督に就任した時、チームは故障者ばかりで数人しか練習できない状態だったのですが、菅野はその練習ができていた数少ない選手のひとり。持ちタイムは速くありませんでしたが、期待をしていた選手です。今回、調子が良く、『チャンスがあれば区間賞を狙う』という話をしていたので、『思い切って狙ってもいいんじゃないかな』と話をしていました。
國學院大の吉田蔵之介選手(2年)と並走し、15㎞まで菅野がレースを作っていましたが、相手がかなり強いので、この勝負は勝てればラッキーと思っていました。結果的に負けましたが、たたき上げの選手が優勝を目指すチーム(國學院大)に対して積極的なレースをできたというのは、彼にとってもチームにとって大きな財産になったと思います」
――10時間50分57秒、総合4位という結果について、あらためてどう受け止めていますか。
「タイム的には10時間50分台をクリアラインの目標にしていたので、そこはしっかりクリアできて良かったですし、チームの力としても、出雲は60%、全日本は80%くらいで、今回の箱根では90%以上を出せ、成長を感じました。ただ、上を見ると青山学院大との差は10分近くあります。これを逆転するには、ひとり1分縮めていかなければなりません(苦笑)。とはいえ、これは昨年までだと夢物語だったんですけど、今はそれが不可能ではないというチームになってきたので、そのくらいやって他大学を驚かせたいですね」
――青山学院大に迫るためにすべきことは見えていますか。
「想定タイムで走るのは大事なことなのですが、ハイペースになった時、恐れずにそれに乗っかっていくような走りができないといけないので、そういう選手を作っていかないといけない。もともと10000mで27分台(の記録を持つ選手)が5人以上は必要だなと思っていましたが、同様にリミッターを外して走れる選手も作っていかないといけません。
あと、ウチは先頭を走った経験がない。先頭で走るのは非常に有利なんですけど、ウチの選手は前を走ることでプレッシャーを感じて、戸惑ってしまう傾向にあります。そこも来年の箱根までには変えていきたいと思います」
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