100mハードル・田中佑美が来シーズン目指すもの「次は『一発』がほしい。一発屋でもいいので(笑)」 (2ページ目)
【がんばりすぎず、コントロールしながら】
── 新しい技術も試されていると言っていました。どんな点を改善されているのでしょうか。
「ハードル種目は、ハードル間の距離が決まっているので、そこをいかに速く3歩で進むかというのが、ひとつのカギになります。
速く進むにはどうしたらいいかというと、脚を速く回せばいいって思うじゃないですか。私もこれまでは、そう思っていました。
でも、速く回す意識だけだと、スカスカって上手に地面を捕まえられず、トータルで見るとスピードが上がりきらないんですよね。そこで、脚を回しながらもしっかりと(前に)進ませる技術を習得できるように練習しています」
田中佑美に来季の目標を聞いてみると... photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る── シーズンを通して、アベレージが上がっています。パリオリンピックもありましたが、今季はどんなシーズンでしたか。
「大崩れしたレースが少なくて、シーズンを通して落ち着いた状態で試合に出られました。記録も安定していて、悪くはないシーズンだったんじゃないかなと思います。
でも、次の段階では『一発』がほしいんですよ。一発屋でもいいので(笑)。ほかの選手や記者の方からは『一発があって苦しんでいる人がいるよ』と言われるんですけど。それが爆発力につながってくると思っています。
とはいえ、一発って狙って出すものではない。自分が今、課題としていることに対して継続的にアプローチをし続けて、すべてが噛み合った時に記録が出ればいいなと思っています。がんばりすぎず、自分が心地よくできる範囲を、時にはわざと越えつつも越えすぎないように、コントロールしながらやっていきたいと思います」
── 今後についてお聞かせください。
「パリオリンピックの準決勝で感じた12秒5台の選手との技術の差が、もしかしたらオリンピックで一番印象に残っていることかもしれません。今後のモチベーションになるのも、そこだと思っています。
なので、今やりたいことは、そういった技術をしっかり習得して、試合で再現することです。それでコンディションが噛み合った時に、いい記録を出したいです」
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