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豊田兼(慶應義塾大学)が挑む日本史上初の400m&110mハードル2種目五輪代表 父の母国での大舞台へ (2ページ目)

  • 寺田辰朗●取材・文 text by Terada Tatsuo

【195cmの長身と走りに近い感覚のハードリング】

豊田兼は長身を活かしたハードリングが武器 photo by 森田直樹/アフロスポーツ豊田兼は長身を活かしたハードリングが武器 photo by 森田直樹/アフロスポーツ 豊田は195cmと世界的に見ても身長が高いこと、そして110mハードルとの2種目をこなすことが特徴だ。110mハードルでも13秒29の日本歴代6位の自己記録を持っている。

 インターバル(ハードルとハードルの間)の走りという点では、特に110mハードルでは長身選手が有利とは言えないが、400mハードルでは間違いなく有利である。

多くのトップ選手は、ハードル間の歩数は5台目までを13歩(奇数歩数なら利き脚で踏み切り続けられる)、7台目までを14歩(6台目を逆脚で踏み切り、7台目で利き脚に戻る)に増やし、10台目までを15歩とさらに増やす。

 それを豊田は8台目まで13歩で、残り2台を各15歩で走りきる。日本人では47秒93の日本歴代2位を持つ成迫健児が6台目まで13歩で行けていたが、8台目まで行く選手は聞いたことがない。歩幅の大きさを生かし歩数を少なくすれば、それだけ後半でのスタミナに反映される、という考え方でいえば、豊田のアドバンテージとも言える。

 ハードリング(ハードルを越える動作)においては、長身選手は重心の上下動が少ないため走る動作に近い。本人も感覚的にそれを感じ取っている。

「400mハードルは(スピード持久的な要素も大きく)練習しないと遅くなるんですが、110mハードルは練習していなくても感覚が体の中に残っているというか、力をプッシュする位置などが走りに近い。ハードルの踏み切りや、最後空中で脚を引き込む動作は、走りの中でやっている動きと共通しています」

 400mの自己記録は45秒57(今年5月の関東インカレ)で、400mハードルの日本歴代10傑以内選手の中では苅部俊二と並び最速タイムを持つ。そのスピードをハードル種目にも直結させられる動きができる。そこがハードラー豊田の特徴と言える。

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