「面白い選手はいっぱいいる」立教大・髙林祐介新監督が目指す箱根駅伝シード権獲得、そして「いずれは母校の駒澤大と肩を並べたい」 (5ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【大学駅伝の生々しさが魅力】

ーー駒澤大OBの指導者も、高校、大学、実業団と増えてきました。

 そうなんですよ。大八木さんは「財は残さないけど、人を残す」とおっしゃっていました(笑)。自分も育ててもらったし、人を育てる姿を目の当たりにしているので、そこに引き寄せられるというか、憧れる部分はみんな、あるんじゃないでしょうか。だから、こういう世界に飛び込んできているのかな、と思いますね。

 でも、中に入ってわかりましたが、そんな簡単なものではありません。あれだけ結果を出すのはすごいことだとあらためて感じました。

ーー大学時代の同期の宇賀地強さん(コニカミノルタ監督)、深津卓也さん(旭化成コーチ)は実業団で指導者になられましたが、髙林監督は大学での指導者を希望されていたのでしょうか?

 いや、もともとあまりこだわりはありませんでした。シニア、つまり大学や実業団のカテゴリーでやりたいなというのは漠然とありましたが。

 でも、駒澤大にコーチとして戻ってきて、学生を指導する面白さをすごく感じました。実業団はある程度、自立した選手を指導しますが、大学の場合、そうではありません。いろんな部分で生々しさというか、人間味を感じられる部分に魅力を感じちゃったのかもしれません。

ーー駒澤大のコーチ時代には大学駅伝三冠だけでなく、田澤廉選手(トヨタ自動車)らの世界への挑戦も間近で見てきたと思います。そういった個の育成という点はどのようにお考えですか?

 あのレベルの育成はすぐにはできないですけど、レベルは違えど、私なりに学びはありました。

 結局、チームとしての目標もそうですが、選手の目標を叶えるのが指導者だっていう教えを受けていますので、そこは大事にしていきたいです。駒澤大では世界を見させてもらったので、そういう世界が見えるチームにしたいという思いもあります。

終わり

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【プロフィール】
髙林祐介 たかばやし・ゆうすけ 
1987年、三重県生まれ。自身、強豪の上野工業高(現・伊賀白鳳高)時代には3年連続インターハイに出場し、3年次には1500mで優勝。駒澤大に進学し、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝で7度の区間賞を獲得。2年次には箱根駅伝総合優勝を経験し、4年次は主将を務めた。卒業後はトヨタ自動車入社し、2011年には全日本実業団対抗駅伝で3区区間新記録樹立し初優勝に貢献。2016年に現役引退。2022年から母校の駒澤大陸上競技部コーチを経て、2024年4月より立教大の体育会陸上競技部男子駅伝監督を務めている。

プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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