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東京マラソンで鈴木健吾は大迫傑の座を脅かせるか パリ五輪代表、最後の切符は誰の手に? 

 3月3日、パリ五輪男子マラソン代表のラスト1枠を決める東京マラソンがスタートする。東京マラソンは、昨年12月の福岡国際マラソン、今年2月の大阪マラソンとともに男子マラソン代表を決めるMGCファイナルチャレンジの指定大会で、その最終戦になっている。MGCファイナルチャレンジの設定タイムは、JMC シリーズ第2期(2022年4月1日~23年3月)での最高記録を基準にしており、昨年3月の東京マラソンで山下一貴(三菱重工)が出した2時間05分51秒を1秒上回る2時間05分50秒になっている。3レースのなかで、そのタイムを越えて、トップになれば晴れて3番目の椅子を獲得することになる。
 
 パリ五輪男子マラソン代表は、昨年のMGCで優勝した小山直城(ホンダ)、2位の赤﨑暁(九電工)がすでに代表内定を決めている。東京マラソンで設定タイムを切れない場合は、MGC3位の大迫傑(NIKE)が、そのままパリ五輪マラソン代表になる。

東京マラソンを走る鈴木健吾(右)、山下一貴(中)、其田健也(右) photo by Kyodo News東京マラソンを走る鈴木健吾(右)、山下一貴(中)、其田健也(右) photo by Kyodo News これまですでに福岡国際マラソンと大阪マラソンが行なわれたが、結果はどうだったのか。
 
 福岡国際マラソンは、2時間06分35秒のタイムを持つ細谷恭平(黒崎播磨)が出場した。30キロ過ぎ、ペースメーカーが外れ、細谷は先頭集団の6人の中にいた。35キロを1時間45分01秒で通過し、このままでは6分台が狙えなくなり、ペースアップが必須になったが、なかなか上がらない。40キロを2時間0分31秒で通過した直後、細谷が先頭集団4名から遅れ出すと、日本人トップの4位ながら2時間07分23秒に終わり、設定タイムを切ることができなかった。細谷は「あれ以上は出せない」と全力を出し切り、レース後は担架で運ばれるほどだった。

 大阪マラソンは、吉田祐也(GMO)、土方英和(旭化成)、大塚祥平(九電工)、聞谷賢人(トヨタ紡織)、鎧坂哲哉(旭化成)らMGCを駆けた選手が多数出走した。

 レースが動いたのは29キロ過ぎ。小山が前に出ると全体が縦長になり、振るい落としが始まった。小山は、32キロで平林清澄(國學院大)にトップを譲るも吉田と競り合い、2時間06分33秒の自己ベストをマーク。従来タイムより1分07秒も短縮する走りを見せ、3位で終えるなど調子のよさを見せた。吉田は雨のMGCで惨敗したことから、大阪も雨予報になったことで大きな不安を抱いていたが、最後まで粘って4位。ただ、トラウマを克服はできたが、設定タイムを切ることができず、パリ五輪でマラソンを走る夢は叶わなかった。

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著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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