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ケガから復帰してパリ五輪を狙う相澤晃 箱根駅伝で並走したライバル、台頭する年下世代への思い (2ページ目)

  • 牧野 豊⚫︎取材・文 text by Makino Yutaka

【効果的だったバイクトレーニング】

――走れない期間のウエイトトレーニングも復帰後のパフォーマンスに大きな影響を与えたと思いますが、何が一番効果的な取り組みだったと思いますか。

「器具を使うメニューも含めたウエイトトレーニングについては、ケガする前よりトレーナーさんとメニューの組み立てや中長期的な取り組み方について綿密に話し合った上で行なうようになりました。あとは自分にとってプラスだったのはバイクトレーニングですね。通常のポイント練習(試合と同様のペースで走る実戦形式の練習)よりきつかったので、走らなくても十二分に心肺機能を鍛えることができました」

――アスリートのバイクトレーニングは短時間の無酸素状態で行なったり、ケガからの復調過程で体を慣らすための目的で行なわれるイメージが強いので、意外です。

「そうですね、あまりイメージはないかもしれませんが、自分はトレーナーの方、専門の研究員の方にトレーニングメニューを作ってもらい、週2回ぐらい取り組んでいました。ロングインターバル(セット間の休む時間を長めに取る)で、バイクを4分漕いで3分リカバリーのような感じでした。個人的には、走らなくてもこれだけ肺を追い込めるんだという納得感があるくらい、本当に自分に合った練習と感じたので、今までやってこなかったのがもったいなかった、と感じたくらいでした」

――その辺りは、悲観せずに過ごせていたのですね。

「2月に入ってから走練習を再開しましたし、おそらく12月に日本選手権が開催されるだろうという前提の元、そこを目指していこうと復帰しました」

――とはいえ、レースには2023年9月の日体大記録会5000mまで出場しないわけですが、その間には3歳年下の田澤廉選手(現・トヨタ自動車)が2年連続で世界陸上1万mに出場するなど台頭してきました。その辺りはどのように捉えていましたか。

「田澤君くらいの力の持ち主ならあれくらいのことはできるだろうなと見ていました。ただ、僕個人は性格的にあまり周りのことをそこまで気にしてはいません。マイペースでやるべきことをやるだけ、というスタンスです。もちろん同級生や戦う相手をレースで意識することはしますが、だからと言って、普段の練習から意識しているかといえばそうではない。大学4年の箱根駅伝(2020年)で伊藤(達彦、現・Honda)と2区で並走するシーンがあったことで、周りから、ライバルは伊藤君? と聞かれる機会が多くなり、自分もそうですと答えることは多いです。ただ、四六時中、すごく意識しているかって言われたら、そこまでではありませんし、他の選手に対してもそうです。伊藤とは仲はいいですけど。

 あと、自分が走れていない時期に結果を残す選手を変に意識しすぎると焦りにつながるので気にしません。2023年はレースから長く離れている分、普段よりは意識していたかもしれませんが、自分が万全の状態で戻って走ったら勝てるだろう、という風に思うようにしていました(笑)」

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