箱根駅伝2区を走った青学大・黒田や駒澤大・鈴木らの走りを東洋大OB服部勇馬が分析 自身が走った当時と比べ「厚底シューズで走っていたら...」 (3ページ目)
【箱根駅伝マニア? としての楽しみ】
――第100回大会全体についてはどのような印象でしょうか。駒澤大一強と見られていた中、青山学院大が完勝しました。駒大にミスがあったのではなく、上回ったという印象です。
「正直、僕も駒大が勝つと思っていました。ですので、青学大、あっぱれです。あと総合タイムの10時間41分台、10時間30分台まで来たという現実には驚かされました。2位の駒大も10時間48分台ですからね」
――青学大と駒大が抜け出ていたこともあり、復路は16校が一斉スタートになりました。
「それも驚きでした。特にシード争いを展開しているチームの監督や選手は、すごく難しかったと思います。前を走っているのに、順位は後ろという状況が生まれるので、大変だったと思います」
――大学卒業もトップレベルで競技を継続していますが、箱根駅伝は見続けているのですか。
「卒業当初は同期会のようにみんなで東京に集まって現地観戦したりしましたが、いまはずっと10時間、テレビの前に座って見ていますね。箱根駅伝は大好きですよ」
――結構、つぶさにいろんな選手を見ている。
「多くの人が認識している強い選手や速い選手はわかっているので、どちらかというとこれから伸びてきそうな選手を探したり、見たりするのが好きですね」
――では、ここまで挙げていただいた選手やエース級の選手以外で目を引いた選手がいれば教えてください。
「まずは、國學院大の5区を務めた上原琉翔選手(2年、区間17位)です。今回は山上りでしたが、前回大会で7区を走っていた姿を見て、リズム良く走っている印象を受けました。一ファンとしては今回も平地で見てみたかったですね。あと、青学大の塩出翔太選手(2年、8区区間賞)です。ロードでもしっかり走れますし、自分でも速いペースでどんどん押していける選手だと思うので、今後も楽しみです」
――リズム良く、という部分をもう少し具体的に説明していただけますでしょうか。
「なんだろう、本人に聞いてみないと本当のところはわかりませんが、選手本人が"進みたいタイミングで進めているんだろうな"という感覚です。自分の体を自分が思うように動かせている走り、と言えばいいのでしょうか」
後編:箱根駅伝までの「この2カ月に何があった!?」 OB服部勇馬が驚嘆した東洋大の総合4位
【Profile】服部勇馬(はっとり・ゆうま)/1993年11月13日生まれ、新潟県出身。仙台育英高(宮城)→東洋大→トヨタ自動車。中学時代から全国レベルの選手として活躍。大学入学後は1年目から主力として活躍し箱根駅伝では9区区間3位、2年時からは3年連続でエース区間の2区に出走し2年時は総合優勝に貢献、3、4年時は2年連続区間賞を獲得した。トヨタ自動車入社後はマラソンに本格的に取り組み、2019年の東京五輪代表選考会のMGCで2位となり日本代表に内定。1年延期となった東京五輪では熱中症の影響もあり73位。その後、しばらくレースから遠ざかるが、2022年秋から本格的に競技を再開し、ニューイヤー駅伝では2023年7区区間賞、24年は7区区間3位で8年ぶりの優勝に貢献した。
著者プロフィール
牧野 豊 (まきの・ゆたか)
1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。22年9月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。
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