元東洋大・相澤晃が箱根駅伝に柏原竜二のいたころの母校と現状を比較「厳しさを削りどこで補うのか」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

――東洋大の選手は他大学と比較しても質が劣っているわけではありません。なぜ、伸び悩んでいるでしょうか。

「自信がないんだと思います。僕が4年の時はいい練習ができていましたし、実際、その練習の成果を宮下(隼人・コニカミノルタ)や今西(駿介・SGホールディングス)は区間新の走りで見せてくれました。後輩には、自分がカバーするから自信を持って自分の力を出すことに集中してほしいと言っていました。でも、結果は10位だったので自分の力不足ですけど、今の東洋大は自信が持てない選手が多いうえに自信がない選手のメンタルを補うエースもいない。そうなると組織で戦うのは非常に難しいですね」

――東洋大は、今、大きな岐路に立っているということでしょうか。

「そうですね。ただ、大学のサポートは手厚いですし、環境が整っているので、あとは選手が自分で考えて練習するしかない。チームとしては学生の大会だけではなく、社会人とも戦えるような選手を輩出していくことが大事です。たとえば、今の駒澤大にはそのような選手がいますし、そうすると他の選手は安心して走れると思うんです。しかも今の駒澤大は、エースに頼らないチーム作りもしています。そういう時のチームってすごく強いんですよ。東洋も設楽兄弟(設楽啓太、設楽悠太の双子)や柏原(竜二)さんがいた時もそうでしたからね。まぁ、でも、今、酒井さんはすごく悩んでいると思います」

 大学スポーツは一度、下に転がり始めると、そこから上昇に転じるのが難しい。東洋大もコーチを加入させるなど手を打っているが、今回の箱根ではどんな結果になるのか......。注目したい。

■Profile
相澤晃(あいざわ・あきら)/1997年7月18日生まれ。福島県須賀川市出身。学校法人石川高等学校ー東洋大学ー旭化成。大学1年時に第48回全日本大学駅伝で学生駅伝デビューして以来、数々の記録を打ち立てる。4年時には学生三大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)すべてで区間新記録、旭化成入社後の第104回日本選手権10000mでは27分18秒75の日本新記録を樹立した。東京オリンピック10000m代表として出場。」

プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。

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