箱根駅伝の優勝候補・駒澤大の激しいメンバー争い 主力選手たちは上尾ハーフの走りをどう自己分析したのか (2ページ目)

  • 佐藤俊●文・撮影 text & photo by Sato Shun

【正直、箱根はギリギリでしょう】

「うーん......この結果に納得はしていないですけど、箱根まで1か月半ぐらいしかない中で、何をすればいいのか......。箱根はこのメンバーがいる中、正直、難しい。でも、そこで自分が諦める姿勢を見せたらダメなんで、やれることをしっかりやって最後までがんばります」

 自らを奮い立たせるようにそう述べたが、思うように走れなかったショックは隠せなかった。藤田監督は、唐澤についてレース後、厳しい表情だった。

「レースは、現状を確かめる感じで走りなさいと伝えました。練習を見ていても感じていましたが、やはりスタミナが圧倒的に足りない。15キロから遅れていったので、これから突き詰めてやっていくところが明確に見えたと思います。ただ、スタミナは一朝一夕につくものではないので、彼の能力でどこまでいけるか。正直、箱根はギリギリでしょう」

 諦めかけた箱根に唐澤は、果たしてどこまで喰らいついていけるだろうか。

 庭瀬俊輝(3年)は、レース後、ホッとした表情を見せた。

 出雲駅伝、全日本大学駅伝ともにエントリーメンバーに入ったが、出走できなかった。その悔しさをぶつけるような走りを上尾で見せた。
 
「1回ペースが落ちて余裕がなくなった中でも前に追いつけたので、それは良かったんですけど、後半の途中で転倒してまって。あとは目の前の選手を追うので精一杯でした」

 全日本大学駅伝の後、右足を捻挫して2週間ほど思うような練習ができなかった。それでもなんとか調整して、62分15秒の自己ベストで8位入賞を果たした。

「自分が白鳥さんに勝ったり、他校の選手に勝ってニューヨーク行き(2位内がNYマラソンに招待)を決めたのであれば満足できますが、駒澤大学で勝負している以上、他校に負けてはいけない。記録については、このくらいで走れるかなって思っていたのですが、やっぱり勝負に負けたのが悔しいです」

 藤田監督が「勝負」を重視していただけに勝てなかったことの後悔が残るが、「走れる」ということを証明したのは大きい。あと一歩というところで出走を逃してきただけに、これでひとつ突き抜けることができるかもしれない。

「昨年は、出雲前にコロナにかかり、その後は左膝の怪我で足を引っ張ってばかりで、悔しい思いをしました。今年は4年生の力を借りながら充実した練習ができましたが、駅伝で走れていないので、箱根は絶対に自分が走るんだという強い気持ちでやっています。箱根を走れるのであれば、集団走が得意でラストを上げられるので1区を走りたいです」

 4年生がもうひとつ足並みがそろわない中、庭瀬にもチャンスは十分ありそうだ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る