出雲駅伝で明暗を分けたルーキーたちの思い 箱根の主要区間を任せられる存在になれるか (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by SportsPressJP/アフロ

 吉岡と同じように今回、出走した多くのルーキーが厳しいレースを強いられた。

 工藤慎作(早稲田大1年)は、花田勝彦監督の好評価を得て、4区を任された。花田監督は、「工藤は、塩尻(和也・富士通)君みたいなタイプ。失礼な言い方だけど、パっと見は速そうに見えないけど、走ったらめちゃめちゃ速い。工藤も普段はふわっとしていて、そんなに強そうに見えないんですけど、走ったら怖いくらいの強さを見せられる選手」と、駅伝での走りに期待していた。その期待を背負った工藤は、トップの駒澤大から139秒差の6位で襷を受けた。6秒差で前を行く國學院大の姿が見えたので、とにかく前を追った。

「襷を受けた時の順位が6位だったので、焦って最初に早く入り過ぎてしまって......。それで足を使って、後半、まったく伸びなくなってしまいました」

 中盤以降、ペースが上がらずもがいた。

 最終的に順位は6位をキープしたが区間10位とふるわず、レース後は、「実力不足でした。全日本に向けて修正していきたいと思います」と、厳しい表情だった。

 5年ぶりの優勝を狙った青学大は、鳥井健太(青学大1年)が5区に抜擢された。夏合宿の練習消化率が100%に近く、924日の絆記録会の5000mでは133673の好記録を出し、その勢いと好調さを評価されての起用だった。レースは、いい流れで襷を受けた。4区の山内健登(4年)が区間賞の走りで順位を4位から3位に押し上げ、鳥井がどこまで順位を上げられるのか、期待が膨らんだ。序盤は悪くなかったが、中盤以降、頭が振れ、ペースが上がらない。結果的に区間10位、順位も一つ下げて4位でアンカーの鶴川正也(4年)に襷を任せることになり、苦い駅伝デビューになった。

 一方、デビュー戦で、上々の走りを見せた選手もいた。

 小池莉希(創価大1年)は、924日の絆記録会5000m133482というU20 歴代9位のタイムで叩き出した。7月のホクレン深川大会で出した自己ベスト を20秒も短縮し、好調を維持して出雲駅伝に起用された。2区に起用された小池は、昨年、同じく出雲でデビューし、今回15位と好走した石丸惇那(2年)から襷を受け、区間5位の攻めの走りで5位の順位をキープし、試合の流れを作った。小池が順位をキープしたことで、3区のリーキ・カミナ(3年)が一気に2位まで順位を上げると、創価大は4区唯一の4年生の山森龍暁 が区間賞の走りで順位を守り、総合2位でのフィニッシュを果たした。

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