マラソン松田瑞生「そりゃ無理やろって言われても、私からすれば何が?って」世陸とMGCで結果を残して「みんなを驚かす」 (3ページ目)
【短期間で世界陸上とMGCに挑戦】
競技者としてのプライドもある。今年の東京マラソンで日本人トップとなり、世陸への出場権を得た。松田が辞退すると2位以下の選手が出場権を得ることになるが、トップの選手が出てこその世陸という思いがある。
ただ、8月の世陸に出れば、10月15日のMGCまで2カ月弱しかない。本当に二兎を追えるのか、MGCに絞るべきではないか、という声が今も松田の耳をかすめていく。
「難しいのは承知しての決断です。私はMGCがあるからといって、世陸を練習程度にとは思ってはいません。そこで勝つために練習し、勝ちにいってのMGCになります。正直、どれだけのダメージが残るのかわからないですし、MGCのスタートラインに立てるかどうかもわからない。でも、残り少ない競技人生を悔いのないものにするために、いろんな人に未知の世界に挑戦する自分の姿を見せたいと思っているんです。一概に無理とは言わず、そういう姿を見せることがこれからマラソンを走る人への刺激になると思いますし、みんなに何かを残せるようなレースにしたいと思っています」
2レースに勝ち、有終の美を飾る。そこに松田なりの引き際の美学がある。
「私は、ボロボロになってやめたくないんです。みんなの記憶に残るように花が咲いたまま、トップのままでやめたい。東京五輪で最後だと思っていましたが、それからここまで自分が続けてきたことは誇ってもいいかなと。競技人生の集大成として残りふたつのレース、そしてパリ五輪に挑みたいですね」
7月からアメリカ合宿に入り、準備を進めていく。
8月と10月、松田がどんな花を咲かせてくれるのか。家族も山中美和子監督も、そして東京五輪の際に支えてくれた多くのファンもきっと「満開」を願っているはずだ。
著者プロフィール
佐藤 俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。
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