箱根駅伝を立教大・上野裕一郎監督が振り返る。当日のメンバー変更は「普通、そんなことしない。何がメリットなのかピンとこない」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 時事

──5区については、どう見ていましたか。

「区間20位は、やってくれたなぁと思いました。スタートして3、4キロの時点でスピードと足さばきが全然ダメで、これはとんでもないことになると思っていました。それがそのまま順位に出ましたね。山を軽視していたわけじゃないですが、改めて山の重要性がよくわかりました。この夏からは特殊区間候補の選手は山に特化した練習をしていかないといけないですし、もっと力のある選手を山にのせていこうと思っています」

──5区の相澤拓摩選手には、レース後、何か伝えたのですか。

「相澤には、『この順位では、今後、怖くて使えない。これを払拭するには、1万m28分台、5000m13分台にいかないと。そのくらいのタイムの選手がやりたいと言ってきているから、それを越えないかぎり、これが最後の箱根になるかもしれない。そのくらいの気持ちで今後やってほしい』と伝えました。本人は、『やるしかないです』と言っていましたが、春には強い新入生が入ってきますし、覚悟のある選手が台頭してくるので、あとは本人の頑張り次第でしょうね」

 立教大の往路は、最下位の20位だった。もっとやれるはずのメンバーなのに、本来の実力を発揮できずに終わった。上野監督は、復路のメンバーも往路同様に、ひとりも当日変更を行なわず、区間エントリ―したままのオーダーを貫いた。

──区間配置のメンバーの当日変更は、ひとりもいませんでした。

「当日変更する意味って何なのか、何がメリットなのか、今ひとつピンとこなくて......。ひとつは体調不良の選手が出た時、エース格を2人外しておいて、そこに入れるというのはわかるんです。でも、よく他大学のオーダーを見て、当日変更で選手を入れ替えるとか言われるじゃないですか。僕の考えですが、普通、そんなことしないですよ。特に、うちみたいなチームは、オーダーした選手が(準備を整えて)スタートラインに立てるような意識をもってやらないと戦えないです。僕は、正々堂々と発表したままのオーダーでいくのがいいと思って今回は臨みました」

──復路は、2、3年生中心のオーダーでした。

「復路は、ハマれば自信がありました。9区の中山と10区の安藤は、シード権争いをした場合に力を発揮してくれると思い、配置したんです。6区の内田(賢利・3年)は、適任者がいないなか、粘って走ってくれたと思います。7区の(服部)凱杏(3年)は、元々16名のメンバーに入っていなかったんですが、強化合宿から調子が上がってきたんです。合宿中の10マイルもひとりで淡々と走っていたので、これはおもしろいなと思い、起用しました。周囲が速いのでブレーキしたように見えるけど、来年はもっとおもしろい存在になると思います。問題は、8区でした」

──問題というのは。

「復路は、8区が重要区間だと思っていたので、山本(羅生・2年)を置いたんです。彼は、この復路のメンバーのなかだと区間5位前後を走れる力があったので、ここで切り替えられたら中山と安藤につないで順位を上げていくことができると思っていました。実際、山本は記録会では強くて、5000m(13分57秒11)、1万m(28分45秒06)の自己ベストを更新していたんです。でも、小心者というか、プレッシャーや大舞台に弱いんですよ。それが如実に出てしまいましたね」

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