高校記録大幅更新の吉岡大翔(佐久長聖)。留学生のライバルに「まったく通用しなかった」悔しさを糧に順天堂大で「世界と戦う」 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • photo by Wada Satoshi

【ひとつでも多く世界を経験】

 吉岡の2022年は、はっきりと世界を見据えた1年間だった。

 6月。日本選手権と併催されているU20日本選手権の男子5000mに出場。大学生に混じって出場したのは吉岡だけ。今年1月の箱根駅伝を走った選手も多くいるなか、吉岡の持ちタイムは出場13選手中トップで、優勝候補の筆頭だった。

 このU20日本選手権は、昨夏、カリ(コロンビア)で開催されたU20世界選手権の日本代表選考レースを兼ねており、同選手権に出場することが吉岡の大きな目標だった。

 U20世界選手権は8月1〜6日に開催だったため、インターハイ(8月3日〜7日)と日程が重なる。しかし、吉岡は「インターハイよりもU20世界選手権を優先させたい」という意志が強かった。

「今後の競技人生を見据えたうえで、一度でも多く世界での経験を積むことが今後につながってくると思う。また、こういった世界情勢がありますので、いつ、どういう時に出られるのか、不透明な部分もある。世界大会に出られるのであれば、ひとつでも多く(日本代表を)とりにいくんだっていう気持ちを持っています」

 そのレース後に、吉岡はこう話していた。多くの高校生がインターハイ路線で全国を目指すなか、吉岡の視線の先にはまったく違う世界があった。

 レースでは高校生らしからぬ冷静沈着な巧者ぶりを見せ、1学年上の選手たちを相手に優勝を果たした。そして、念願叶ってU20世界選手権の日本代表にも選出された。

 同選手権には3000mと5000mの2種目に出場し、5000mでは見事に7位入賞を果たしている。駒澤大の佐藤にも先着した。

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