箱根駅伝区間エントリーから各校の思惑を読む。駒澤大、青学大の2強の勝負ポイントは6区終了時点 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by MATSUO.K/AFLO SPORT/AJPS

【2強以外も狙うは往路優勝】

 そんな強力な2校に対抗し、往路を制して主導権を握りたいと考えているのが、3番手以降の大学だ。候補は國學院大や順天堂大、中央大、創価大あたりだ。

 出雲2位、全日本2位と前評判の高い國學院大は、5区には出雲と全日本で最長区間のアンカーを務め、関東インカレ2部ハーフマラソン優勝の伊地知賢造(3年)を5区に、6区は前々回区間4位の島﨑慎愛(4年)をエントリーして山を固めてきた。だが、3区にハーフマラソン日本人学生歴代2位の1時間00分43秒を持ち、出雲と全日本を走っている山本歩夢(2年)をエントリーした以外の往路は、煙幕を張ってきた。

 補欠には前回4区区間4位で、1万m28分17秒84を持ち出雲は4区区間賞で、全日本は3区区間6位と好調な主将の中西大翔(4年)と、前回は9区区間2位でハーフマラソンは1時間01分50秒を持つ平林清澄(2年)、出雲は1区区間7位で全日本は5区区間賞の青木瑠郁(1年)。この3人のなかのふたりを1区と2区で起用してくる可能性は高い。そこで流れを作り、復路で粘る戦略でくるだろう。

 また前回2位で、長門俊介監督が「総合優勝のためには青学大と駒澤大に対して主導権を握ることが必須」と話す順天堂大は、3区に前回区間3位の伊豫田達弥(4年)と4区には前回区間2位の石井一希(3年)をエントリーしてきたが、往路の他区間は当日変更をにらんだ配置だ。経験者を並べる3区と4区で確実に上位に迫り、長門監督が自信を持っている四釜峻佑(4年)を当日変更で5区に入れて勝負するためには、1区と2区で確実に上位についていく展開にする必要がある。

 ただ2区は駒澤大の田澤、青学大は近藤という強力な戦力を持っている状況では耐える区間になりそう。それを考えれば1区は三浦龍司(3年)を起用して2校に差をつけて先着し、2区は前々回走った野村優作(4年)で耐えるという布陣になるか。それができれば復路は補欠を含めて堅実に走る選手が控えているだけに、目標の総合優勝争いにも絡めそうだ。

 また前回6位の中央大は、山の5区と6区を前回も走った阿部陽樹(2年)と若林陽大(4年)をエントリー。4区には1万m28分06秒27を持ち、出雲では6区区間4位の吉居駿恭(1年)をエントリーしたが、1区から3区は当日変更を予定したと思えるエントリーにしている。

 その当日変更要員と思える補欠には、前回1区で区間新を出して2位に39秒差をつけた吉居大和(3年)と、1万m28分00秒86を持ち、出雲を走っている中野翔太(3年)。1万m28分15秒40を持ち、出雲は2区区間3位、全日本は1区区間3位の千守倫央(4年)が残っている。

 吉居大和を、順天堂大の三浦が来るかもしれない1区に起用して前回と同じように先手を取る作戦でくるか。または全日本で好走した千守を1区で使い、吉居大和を2区か、ゲームチェンジャーとして期待できる3区で起用するか。往路の戦力は揃っているだけに、どの布陣でくるのか、他校も警戒するところだろう。

 ただそのなかで、前回9位ながらも往路優勝を狙える戦力を持っている創価大は、榎木和貴監督が「やってみたい」と話していた総合優勝狙いの布陣にしてきた。それでも往路を十分に戦える布陣だ。今季は急成長をして、全日本でも1区で駒澤大の円と同タイムの5位でつないだ横山魁哉(4年)が期待どおりにタイム差のない上位でつなげば、2区のフィリップ・ムルワ(4年)は確実に上位に迫る力を持っている。その流れのなかで3区の山森龍暁(3年)が耐えれば、箱根には相性のいい嶋津雄大(4年)が先頭争いに加われる可能性を持つ。

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