創価大「箱根駅伝は優勝を狙えるチャンス」。4年生を中心に戦力が底上げ、「選手の起用に幅が出てきた」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Sports PressJP/AFLO

【4年生との絆と3年生の決意】

 そんな創価大の強みは、榎木監督が就任した年に入学し、「自分たちは監督と同期だ」と話す現在の4年生が充実していることだ。元々、高校時代の実績がある選手は少なく、5000m14分0秒台を持つ2019年世界クロカン代表の葛西と、同じく14分06秒76と世代トップクラスのタイムを持つ濱野将基が入ってきたのは異例とも言えた。

榎木監督は当初、このふたりを軸にしていこうと考えていたが、予想外に14分台後半から15分台で入ってきた選手の方が先に伸びてきて、記録がふたりよりよくなった時期もあった。

「生活がルーズなところもあって手がかかった学年だけど、みんな自分の指摘を素直に受け止めてくれたし、みんなが努力できる学年でした。僕が強くしたというより、本当に弱い底辺のレベルからみんなで強くなってきたので、仲間意識のようなものもあります。葛西もケガがあったけどしっかり努力するタイプなので、他の選手に上に行かれたことで相乗効果も生まれたと思います」

 その4年生、嶋津と葛西にフィリップ・ムルワを加えた3人が、絶対的な主力と存在している。さらに山の区間にも、前回5区走った三上雄大を練習ではぶっちぎっていたほど計算できる存在の新家裕太郎がおり、6区には2年続けて同区を走っている濱野がいる。

さらに「4年になってようやくスイッチが入り、覚悟を持って駅伝にチャレンジしていると感じ、取り組み方が変わった」と榎木監督が評価する横山魁哉は、10月に1万mで28分33秒58と自己記録を伸ばし、全日本でも1区で駒澤大と同タイムの区間5位と計算できる選手になった。

また、これまで箱根出場を逃していた主将の緒方貴典も、夏場は出遅れていたものの、ここにきて調子を戻してきている。

 4年生はこの7人がエントリーされたが、榎木監督は「力が同等なら、来年以降を考えて下級生を使うと伝えているが、彼らが下級生の挑戦を押さえつける圧倒的な力を見せたら、総合優勝のためには当然起用します」とも話す。

 3年生以下の選手たちは4年生の充実ぶりを認めながらも、来年以降を考えて「自分たちが走らなければいけない」という意識を強く持つ。

 3年生では、前回の箱根で3区を走った桑田大輔が、今年の全日本は新型コロナウイルスに感染して走れなかったものの、11月下旬の1万m記録会では、緒方や濱野とともに先頭を引っ張るレースをして28分41秒93と元気な姿を見せた。

 また、全日本の8区を走って区間11位ながら、前年と比較すれば区間5位相当のタイムだった山森龍暁は、「終わってから余力が残っていたので、一緒にきた順大を追いかけるという判断ができていればよかったという後悔がある」と話し、箱根での雪辱を誓っている。

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