箱根駅伝予選会で好走。昨季スーパールーキーと呼ばれた逸材など本戦でも注目の3選手 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by KYODO NEWS

 中央学院大は昨年11位で箱根駅伝への出場が叶わず、悔し涙を流した。今年は7位で予選会を突破し、箱根に戻ることになる。復活劇の主役は、栗原啓吾(4年)だ。ラストは、ふらふらになりながらも歯を食いしばって粘り、1時間2分46秒の日本人トップでフィニッシュした。

「相手が詰めてきたのは息が聞こえてくるまでわからなかったんですが、1秒でも稼がないといけないと思ったので、最後は粘りました。本当は、もう少しあとのラスト1キロぐらいで上げる予定だったんです。でも、集団が思った以上に固まっていたので、このままいくと勝てないという焦りが出てきて......。ラストは、失速しましたが、日本人トップを狙っていたので、そこはとれてよかったです」

 栗原はホッとした表情を見せた。

 昨年の落選から1年、ここまで栗原は「長かったです」と苦笑した。自分たちはなぜ負けたのかを考え、その弱点を補うべく練習に取り組んできた。

「昨年、予選会で負けたのは、スピードに対応できなかったことと、15キロ以降の粘りが足りなかったからでした。今年は、スピード練習を取り入れてやってきましたし、ハーフ対策としては後半にしっかりと上げられる練習をしてきました。練習の質が高いので、崩れてしまう選手もいたんですが、それでもみんな必死に食らいついてきたので、力はついてきたと思います」

 6月の全日本大学駅伝予選会では、その力の一端を示し、3組の小島慎也と武川流以名がワンツーフィニッシュを見せ、栗本も4組で9位に入るなど総合6位で通過した。その後、チームには故障者が多く出てしまい、今回の予選会もベストメンバーをそろえることができなかった。

「ここまで正直、怖かったです。故障者が多く、チームはドン底で、もしかしたらまた落ちるかもしれないという危機感が大きく、余裕はなかったです」

 それでもチームは練習の成果を見せて予選を突破した。だが、栗原は満足していない。

「今回、主力選手、昨年走れている選手が出ていないので、まずチームの足並みをそろえることが大事かなと思います。そうして箱根では、みんな、万全の状態で走ってほしいと思っています」

 全日本大学駅伝予選会で活躍した駅伝主将の小島や武川、松島匠らが戻ってくれば、箱根でも戦える手応えを栗原は感じている。その箱根駅伝、栗原は1年時は3区13位、2年時は1区5位だった。最後の箱根は、どの区間を走りたいと思っているのだろうか。

「まだ決まってはいませんが、1区か3区と言われています。自分は逆転できるような力はないんですが、有利なポジションをキープしてうしろにつなげ、しっかりと流れを持ってこれるような走りをしたいです。そうしてシード権を獲得するのが目標です」

 箱根で主力が戻り、栗原が今回のように快走すれば、フラッシュイエローのユニフォームはより鋭い輝きを放つだろう。

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