100mハードルの寺田明日香、陸上を離れる前の自分に決着を。東京五輪は「終わりであり、始まり」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

「私が2019年に復帰していきなり世界選手権に出たことで、女子ハードルが動き出したところはあったのかなと思います。ハードルはリズムの競技で、私と青木選手ではリズムが違いますし、それぞれの特徴があるけど、互いにいい部分の情報交換ができる。それはタイムが近くないとできないので、いい部分を吸収できるのは楽しいです。世界記録保持者のケンドラ・ハリソン(アメリカ/12秒20)は同じくらいの身長なので、彼女が持っていて私が持っていないものって何かなと考えたりしますし、比較できるくらい私のタイムが彼女に近づけばいいなと思っています」

 記録も急に高い目標を立てるのではなく、一つひとつ積み重ねていくことが大事だ。寺田の場合は12秒8台を出せたことで、12秒6台に目を向けられるようになったと言い、12秒4台を目標にするなら、12秒6台を出さなければならないという。日本記録を更新して世界を見据えるようになったからこそ、基本のハードルドリルも、「こういう意識を持ってやらないと意味がないんだな」と、その練習の本質がわかるようになった。

 今年に入って感じている手ごたえは、スプリント力がこれまでよりアップしたという自信と、ハードルに向かって踏み切る時の身体の捻りの方向をしっかり意識できるようになった技術面だという。

「以前はラグビーをしていた影響から、復帰した時の走りはぐいぐい押していく走りだったんです。でもハードルの場合は思い切り100mを走るのとは違って、動きや姿勢を制限しなければいけない。そこを意識してやってきたけれど、今は考えなくてもできるようになりました。普通に100mを走っても自己ベスト(11秒63)より速く走れると思います」

 屋外シーズン初戦となった今年4月の織田記念大会の決勝は、日本記録の12秒96を出し、「これなら五輪参加標準記録の12秒84は絶対に出る」と自信をのぞかせた。

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