神野大地が語る「箱根5区の攻略法」。山の神はいかにして生まれるのか (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by AJPS/AFLO SPORT

---- 「山の神」は神野選手以降、出てきていません。今年の可能性はいかがでしょうか。

「どこの区間でも大記録が生まれるのって、1発目かなぁって思います。前年に区間賞を取っているので『次は山の神か』と期待がかかると、なかなか難しい。最初に走る時は、チームから過度の期待をされないですし、メディアとかの注目もないので記録が生まれやすいんです。でも、2回目からはチームの期待が大きくなり、メディアや周囲からのプレッシャーがかかるんですよ。それに打ち勝って、プラスアルファの力を出さないと大記録が生まれない。みんな、2年目、3年目と挑戦するけどプレッシャーに打ち勝てず、前年と同じぐらいのタイムで終わってしまうので、(4代目誕生は)簡単ではないでしょうね」

---- 今回の箱根で神野選手が注目する母校の選手は誰になりますか。

「吉田圭太選手ですね。注目というより応援しています(笑)。全日本のアンカーで駒澤と東海に抜かれて悔しい思いをしましたけど、僕も全日本で4年の時、同じ経験をしました。2位でタスキをもらって1位の東洋と25秒差で、『神野なら抜ける』と期待されたんですが抜けなくて......『神野のせいで負けた』みたいな感じになったんです。だから、吉田選手の気持ちがよくわかるし、今もメンタル的に追い込まれていると思うので、箱根ではぜひ結果を出してほしいですね」

---- 今回の箱根駅伝、青学大が連覇するためには何が重要ですか。

「青学大は箱根の勝ち方をわかっていると思いますし、箱根当日にベストパフォーマンスにもっていく流れが確立できているので、あとはそこにうまく選手がハマれば優勝は自ずと見えてくるでしょう。ただ、今年は他の大学も強いので、ひとつでもミスしたら優勝争いから脱落します。あと、青学大は今年、流れが悪い時にそれを振り出しにしてくれるゲームチェンジャーがいないんですよ。正直、1区で出遅れると、そこから上げていく選手がいないので、1区では上位につけて流れに乗ることが優勝の必須条件かなと思います」

 5区の結果が今の神野選手の陸上に対する自信を育み、ランナーとしての成長へとつながった。「山の神」は、人気選手への登竜門とも言えるのかもしれない。はたして、今回の箱根駅伝で「山の神」は誕生するだろうか。

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