神野大地が語る「箱根5区の攻略法」。山の神はいかにして生まれるのか (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by AJPS/AFLO SPORT

---- 箱根駅伝10区間あるなかで5区は、どういう区間になりますか。

「箱根駅伝は正直、山勝負なんですよ。1区、2区の戦いもありますが、山の区間で勝負が決まります。そのくらい価値がありますし、みんなが注目する区間です。そこで結果を出せば人生を変えられる区間だとも思っています。学生が大会で優勝しても自分の名前が一気に世間に広がるとか、普通はないと思うんです。でも、箱根5区で結果を出すと、たとえば僕はツイッターのフォロワー数が3000人ぐらいだったんですけど、5区を走った日に3万人になったんです。そのくらい影響力がありますし、チームにとっても選手個人にとっても重要な区間だと思います」

---- チーム内で5区を走る選手に対する見方は他の区間を走る選手とは違うものですか。

「みんな、けっこう上りの練習に行くんですよ。でも、キツすぎて、みんな上れないんです(笑)。5区を走って結果を出せる人はそんなにいないので、『すごいな』ってみんな言ってくれますし、なんか尊敬されるというか、そういう目線で見てくれていましたね」

---- 5区を失速することなく走り切るための策はあるのでしょうか。

「太平台から宮ノ下、小涌園ぐらいまでは、みんな、勢いでいけてしまうんです。5区の本当の勝負は小涌園から。小涌園から頂上まで5キロぐらいあると思うんですけど、そこでめちゃくちゃ差が出るんですよ。じつは、5区を走ると決まった時、前年の設楽(啓太)さんや柏原さんの区間ごとのタイム、たとえば宮ノ下から小涌園、小涌園から頂上までの区間データを見たんです。僕と柏原さんは、小涌園から頂上までのタイムがほかの選手より圧倒的によくて、そこでかなり差が開いていることがわかったんです。そういうデータを生かしつつ、あとはみんなが落ちるところでどれだけ粘ることができるか。それが5区を失速せずに走り切るには重要ですね」

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