神野大地マラソン人生の第2章がスタート。新コーチは元五輪ランナー (5ページ目)
「過去の練習データを見ていると、もう少し全体的な走行距離を増やしたほうがいいかなと思いました。レースに向けての3、4カ月は少なくとも700〜800キロは必要だと思います。
ただ、いきなり距離を上げていくと故障のリスクがあるので、距離に対する耐性をつけながら増やしていきたい。あとは、それだけの距離を走れるタフさが足りないと思ったので、下半身や背筋などのウエイトトレーニングをやったほうがいいという提案はさせてもらいました」
練習は3週間かけてトレーニングの負荷を上げ、1週間でリカバリーして次のプログラムに移る。ポイント練習は、これまで週2回だったが、3回に増やした。練習後は携帯アプリでやり取りを行ない、不安な点や感じたことを直接話すようにしている。
「練習は新鮮です。メニューの流れはもちろんですけど、たとえばタイム設定がドンピシャなんです。無謀でもなく、楽なタイムでもない。それに藤原さんはすごくランナーの気持ちを理解してくれます。ポイント練習では、やっぱり体が動かない時があるんです。それを伝えると『暑い時は3回に1回ぐらいはできないこともあるから、引きずらなくてもいいよ』って。そこに甘えてはいけないですけど、ありがたいなと」
藤原はそのことについてこう語る。
「大事なのは、できなかったから終わりではなく、そこからどう修正しながらやっていくのか。この練習はできなかったけど、1回パスするのか、それとも明日やり直すのか......状態を見ながら判断していく。僕自身、現役時代はプランどおりに練習できたことがあまりなくて、いつも修正、修正で、最後に帳尻を合わせていた。修正しながらでもやり抜く力がついてくれば強くなると思うんです」
神野は几帳面、完璧主義で、練習の消化率を重視し、練習ができなかったことに対して罪悪感を感じてしまうタイプだ。だが、藤原の言葉で焦ることなく、落ち着いて練習に取り組めている。
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