2020.05.25

大迫傑の快進撃は、「魔法のシューズ」の
デビュー戦から始まった

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by Toshihiro Kitagawa/AFLO

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第10回 陸上マラソン・大迫傑 
初マラソンで3位に入賞したボストンマラソン(2017年)

 アスリートの「覚醒の時」——。

それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪での活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか……。筆者が思う「その時」を紹介していく——。

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ボストンでの初マラソンで3位に入り表彰台に上った大迫傑 トラックランナーからマラソンランナーへ。5000mの日本記録保持者・大迫傑が”新たなる可能性”を示したのが、2017年4月のボストンマラソンだ。

 大迫は前年の日本選手権で5000mと1万mの2冠を達成するなど、日本長距離界のエースとして君臨。同年夏のリオ五輪には1万mで出場した。そんな大迫の初マラソン挑戦は突然だった。

 2017年2月の丸亀国際ハーフマラソンで、大学1年時の上尾ハーフ(U-20日本最高記録の1時間1分47秒を記録)以来、6年3カ月ぶりとなるハーフに出場。日本人トップの神野大地に9秒遅れたが、1時間1分13秒の自己ベストをマークした。そしてレースから約2週間後の2月21日に、自身のTwitterで「大迫、ボストンマラソン走るってよ。」とつぶやき、初マラソン挑戦を発表したのだ。