2020.05.22

サニブラウンが2回目の「ボルト超え」。
その走りに世界が驚いた

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by Toshihiro Kitagawa/AFLO

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第9回 陸上短距離:サニブラウン・ハキーム 
ロンドン世界陸上・男子200m準決勝(2017年)

 アスリートの「覚醒の時」----。

 それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

 ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪での活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか......。筆者が思う「その時」を紹介していく----。

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2017年ロンドン世界陸上の200mで、決勝に進出したサニブラウン 2017年8月9日。ロンドンは朝から冷たい雨が降っていたが、陸上の世界選手権が開催されていたロンドン・スタジアムは熱気に満ちていた。会場をヒートアップさせたのは、男子5000m予選に登場した地元の英雄であるモハメド・ファラー(英国)と、男子200m準決勝に出場した当時18歳のサニブラウン・ハキームだった。

 その日は日本チームによる「中間総括」の囲み取材があり、当時の男子100m日本記録保持者であった伊東浩司強化委員長は、もっとも印象に残ったパフォーマンスとしてサニブラウンの男子100m予選(2組)を挙げた。

 同レースでサニブラウンは、世界歴代2位タイの9秒69のタイムを持つヨハン・ブレーク(ジャマイカ)に先着し、自己ベストタイの10秒05でトップ通過を果たした。陸上短距離種目が予選、準決勝、決勝の3ラウンド制になってから、日本人選手の予選トップ通過は初の快挙だった。