池田向希が競歩代表に内定。強さの秘訣は同郷同学年の「同志」の存在 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 だが、酒井コーチは、「世界チーム選手権の優勝が池田の足を引っ張った」と振り返る。そのレースでは、集団についていって最後に抜け出す格好で9秒差をつけて優勝したが、それが自分の勝ちパターンだと思ってしまったのだ。

 池田自身も、酒井コーチと同様の感想を述べている。

「あそこで優勝したことで世界選手権や五輪に出たいと強く思えた一方、勝ちパターンを自分で作り上げてしまったことがマイナスになったと思います。そのパターンに入らなければ勝てない、という試合が続きました」

 その対策として、酒井コーチはあるレース展開を池田に指示した。

「今のうちにいろいろな経験をさせて、最終的には鈴木雄介選手のような懐の深い選手になってもらいたいと思っていました。なので、世界選手権や今年の日本選手権では前に出て揺さぶるような展開の、本人が一番嫌がるレースをさせました。2月の日本選手権には、だいぶ仕上がった状態で臨めましたが、ライバルのメンタルに揺さぶりをかける山西選手のペースの上げ下げを経験したことで、いい勉強にもなりました」

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