箱根駅伝で東京国際大は台風の目となるか。
「創部初」連発で勢いあり

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

箱根駅伝2020 有力校はココだ!  
戦力分析 東京国際大学編

 創部9年目、東京国際大の勢いが止まらない。6月の全日本大学駅伝関東学連推薦選考会をトップで通過。その後も「創部初」となる快挙を連発している。

 エース伊藤達彦(4年)は7月にイタリア・ナポリで行なわれたユニバーシアードのハーフマラソンに出場。駅伝部初の「国際大会代表」で銅メダルを獲得した。また、9月の日本インカレ5000mでは、ケニア人留学生のイェゴン・ヴィンセント・キベット(1年)が13分35秒75で優勝。チームとして初の「日本一」に輝いている。

 そして、箱根駅伝予選会と全日本大学駅伝がすばらしかった。10月26日の箱根予選会は、ヴィンセントが個人3位に入ると、伊藤が日本人トップの5位。10人目の選手がゴールしたのも全体の2番目という抜群の内容だった。当日は暑さもあり、タイムは伸びなかったが、総合10時間47分29秒で堂々のトップ通過を決めた。

箱根予選会をトップで通過した東京国際大箱根予選会をトップで通過した東京国際大「ターンオーバー制」は言いすぎかもしれないが、予選会の8日後に行なわれた全日本大学駅伝は、1区:山谷昌也(1年)、3区:芳賀宏太郎(2年)、7区:内山涼太(4年)、8区:ルカ・ムセンビ(1年)と、予選会を"温存"した4人を起用。そして、エース伊藤が2区でチームを加速させる。首位と31秒差の14位で走り出すと、13人をごぼう抜き。従来のタイムを51秒も上回る区間新記録でトップを奪ったのだ。

 エースの快走で波に乗り、5区:真船恭輔(4年)も区間4位と好走。3~7区は目標のシード権圏内(8位以内)でレースを進めて、8区のムセンビに6位でタスキを託す。「長い距離とロードが得意」というムセンビは、早稲田大と東洋大をかわして、伊勢神宮のゴールに飛び込んだ。初出場で4位に食い込む見事な継走だった。

 過去3回出場した箱根駅伝は、17位(2016年)、17位(2018年)、15位(2019年)。前回は4区終了時まで10位以内をキープしたものの、シード権が獲得できる10位(中央学院大)には5分以上も届かなかった。

 それでも、「自校のタスキを最後までつなぐ」という目標を達成した。「これまではついていき、粘るようなレースでしたけど、今回は"駅伝"をしたいと思っています」と大志田秀次監督。2区は3年連続となる伊藤が濃厚で、エースの快走で切り込んでいく。

 伊藤は東洋大・相澤晃(4年)をライバル視しており、箱根予選会は相澤が走っているのをイメージしてレースを進めたほど。全日本大学駅伝では3区で区間記録を大幅に塗り替えた相澤と、直接対決ができなかったことを悔しがっていた。

「個人的な目標は2区で区間賞を獲得することです。そのためには相澤だけでなく、ケニア人留学生にも負けるわけにはいきません」

 相澤は日本人最高記録(1時間6分45秒)の更新を狙っているが、伊藤はそれ以上の快走を見せるつもりでいる。

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