2019.12.21

神野大地が目指すは三歩先より半歩先。
初の日本代表で「金を獲りたい」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

神野プロジェクト  Road to 2020(39)

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 12月中旬、神野大地は千葉・富津で合宿を行なっていた。12月22日に中国で開催される第17回アジアマラソン選手権大会に日本代表として出場することになっており、最終調整をしていた。

「ここまではすごく順調ですね」

 そう話すように、神野の表情は明るかった。

初めて日本代表としてアジアマラソン選手権に出場する神野大地 MGCのあとリスタートした神野は、11月に日体大記録会1万mで28分33秒72の好タイムを出し、つづく熊本で開催された甲佐10マイルでは前半からハイペースで飛ばし、46分18秒という実業団1年目に優勝した時よりも20秒早いタイムを出し、総合4位に入った。

 好調の理由について、神野はこう語る。

「MGC前に行なったケニア合宿が自分にとってすごくよくて、それを信じてMGCに臨んだのですが、いま考えるとその時の練習が生きて、自分のレベルが上がっているのかなと。あとは、これまでMGCに入れ込みすぎて、そのプレッシャーから解放された今、純粋に陸上に打ち込めるようになった。それが走りにも表れているのかなと」

 神野にとってMGCは、いわば人生をかけたレースだった。そうしたレースにプレッシャーを感じない選手はいないだろう。MGCは17位に終わったが、全力で取り組んだことで、あらためて大事なことに気づいたという。

「青学大時代、原(晋)監督に半歩先の目標を目指しなさいと言われ、それを守ってやってきました。その目標を達成した時、二歩も三歩も進んでいることが実感できたからです。でも、MGCは半歩先じゃなくて、二歩も三歩も先の目標で、結局、一歩も進んでいないことに気がついたんです。それはMGCをやってみないとわからないことだった。これからは以前のように地に足をつけて、半歩先の目標をクリアしていく。その先に世界陸上やオリンピックが見えてくるのかなと思っています」

 今回のアジアマラソン選手権は、その半歩先の目標を達成するためのものでもある。アジアマラソン選手権は文字どおりアジアの有力選手が集まる大会で、中国や中東などの力のある選手が参戦予定だ。2年前の前回大会の優勝タイムは2時間15分48秒と決してハイレベルではないが、簡単に優勝できるほど甘くはない。