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3大駅伝を前に東海大3年生が絶好調。
悪条件での好走に監督もニヤリ (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 両角監督にそう言われた西田は、うれしそうな表情を浮かべていた。

「残り2000mから上げていこうと思っていたので、それができたのはよかったです。ただ、ラストスパートで、土方さんにあそこまで上げられるとさすがにきつくて......

 だが、そこからも西田は粘り、ペースは落ちなかった。タイムは285815と、28分台を出した。このレースで、西田は箱根の山だけでなく、平地でも走れる力を見せた。

 昨年も全日本大学駅伝で4区を走っており、左足のアキレス腱痛を抱えての走りとなってしまい、区間3位となってしまったが、万全の状態で走れば昨年以上の結果は十分に期待できる。それを裏づけているのが、西田の足だ。先月900キロを走り、ふくらはぎの筋肉が隆起し、走れる足をつくってきたことは容易に想像できた。

「足はいい感じです。このままケガさえなければ、出雲はともかく、全日本は走れるかなと思います。箱根は、もちろん山です」

 西田の弾んだ声を聞いていた両角監督が、すかさず横やりを入れる。

「まあ、あまり調子に乗らないように。慌てずやっていけば、もっとよくなるはず。"山の神"になるんだろ(笑)」

 その言葉を聞いた西田は相好を崩した。

 それにしても、西田はよくここまで自信を回復させたなと思う。箱根優勝後は、優勝メンバーという重荷を感じ、「練習から意識してしまい、集中できない部分があった」と言うように、なかなか調子が上がらなかった。夏の白樺湖合宿でも「まだまだですね。2年生を引っ張っていかないといけない立場ですけど、僕自身がもうひとつなんです」と厳しい表情をしていた。

 だが、アメリカ合宿で充実した練習をこなせたのだろう。その成果を発揮するのはこれからだろうが、この日のレース内容には満足したようで、明るさが戻ってきた。「一歩先をいっている」と感じていた塩澤に勝てたことも、笑顔がこぼれた要因のひとつだ。

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