衝撃の日本記録。走り幅跳び・城山正太郎は五輪メダルの可能性十分だ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 8月17日に開催された「アスリート・ナイトゲームズ・イン福井」は、夕方からの競技で好記録が続出した。

走り幅跳びで日本記録を更新した城山正太郎走り幅跳びで日本記録を更新した城山正太郎 約1万人の観客が見守るなか、その口火を切ったのが男子200mだった。出場したのは、白石黄良々(きらら/セレスポ)や、日本選手権の太もも肉離れからの復帰レースとなる飯塚翔太(ミズノ)。追い風0.8mの絶好の条件の中、スタートから飛ばした8レーンの白石が世界陸上参加標準記録20秒40を上回る、20秒27でゴール。続いて飯塚が20秒39、3位の山下潤(筑波大)も20秒40と、標準記録を突破した。

 続く男子走り幅跳びは、衝撃的な展開となった。

 日本選手権連覇の橋岡優輝(日大)が1回目に追い風1.6mの条件で、日本記録を7cm更新する8m32で会場を沸かせ、優勝は確実と思われた。ところが、3回目の跳躍で城山正太郎(ゼンリン)が、今季世界最高に1cm及ばないだけの8m40を跳んで日本記録を更新したのだ。

 走り幅跳びは、アジア選手権やユニバーシアードで優勝した橋岡の実績がこれまで突出していたが、今回、城山も力を発揮したことで、世界選手権や東京五輪へ向けて期待が大きく膨らんでくる。

 城山は北海道函館市出身。小学4年から陸上を始め、走り幅跳びは函館有斗高2年から始めた。これは、トップ選手のなかでは遅いスタートだ。2016年には8m01を跳びながら、その後伸び悩んだが、今年は「パワーがついてきて大きな筋肉を使えるようになり、走る時の地面の捉え方もよくなってきた」と本人が話すように助走スピードがアップ。そして今回、自己記録更新を一気に39cmも更新する大ジャンプを成功させた。

「以前は8m0台に壁のようなものを感じていましたが、(今年)7月のヨーロッパ遠征のベルギーの大会で、追い風参考記録ながらも8m32を跳んだ時の感覚がすごくよくて。あの感覚で跳べれば、世界選手権の標準記録の8m17や、五輪の標準記録の8m22も跳べると思っていた。これまで追い風参考でいい記録を跳んだあと、それよりもいい記録を公認の風で跳べることがあったので、今日、もしかしたら......、というのが頭の片隅にはありました」(城山)

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