神野大地が3つの取り組みで成果。MGC本番へ自信を確信に変えた (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 そんな過酷な環境のなか、神野は3位(63分46秒)でゴールした。1位はジョセフ・ラジニ・レメティキ(拓殖大)で、2位の早川翼(トヨタ自動車)に最後は競り負けてしまったが、今回のテーマのひとつであったMGCファイナリストたちには勝った。

「優勝を目標にしていたので、達成できなかったことは満足いかないですが、MGCに出場するメンバーのなかではトップで走ることができましたし、この暑さでも大きく崩れることなく結果を出せたのは自信になりました。先週の深川での1万mと今回のハーフ、ともに自分のなかではまずまず満足できるレースができた。成果を上げられたということは、新しい取り組みは間違っていないということ。その確認ができたので、いいレースだったと思います」

 わずか4名だがMGCのファイナリストに勝ったことは大事なことだし、なにより神野の走りを印象づけることができたのは大きかった。また、MGC本番は暑くなる可能性があり、この暑さを経験できたことも有益だった。

 とはいえ、3つの取り組みを含め、すべてが100%うまくいっているわけではない。

 士別ハーフでは、最後の直線で早川に競り負けた。MGCでも足が疲れているなか、最後は壮絶な競り合いになる可能性がある。マラソンの後半は足が消耗し、スピードもキレも望めないなか、強さが求められる。ラストを意識した練習も必要になるだろうが、ただフォーム改造が順調に進めば、楽に今のスピードを維持して走ることができる。そうなると足を残せるため、ラストの勝負で優位に立つことができる。

 フォームづくりは、ケニアでさらに進化させていくことになるだろう。そのためには、もう少し時間が必要だ。

「新たな取り組みでやっていることは、現状、目一杯です。まだ100%実現できていないので、少しでも近づけていけるようにやっていかないといけない。教えてもらったことをすぐ実践し、すぐ動きに変えられる人もいるけど、僕は筋肉がつくのが遅いし、センスがないので人よりも時間が必要なんです」

 そう自虐的に語る神野だが、そのセンスのなさを補うのが努力だ。神野は練習を地道に積み重ねられる才能がある。ケニアではすべてを100%にするため、時間が費やされることになる。

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