神野大地はアンチにもめげずSNSを活用。「ありのままの自分を伝える」 (2ページ目)
そこには、自分ほど練習をやってきた選手はいないという自負が感じられる。もっとも、そう思わなくては厳しいレースで勝ち抜くことはできない。その自負こそが、選手が自信を持ってレースに臨むための拠りどころになるからだ。
神野の取り組みに注目しているメディアは多い。バラエティ番組に出演し、講演会、子どもたちのランニング教室など、多方面で活躍している。そのせいか、ほかの選手よりも露出が多い。プロランナーゆえに自己プロデュースをしていかなくてはならないが、メディア戦略についてはどう考えているのだろう。
「僕がこうして注目してもらえているのは、箱根駅伝で"山の神"になったからだと思うんです。だから、マラソンで大した成果を挙げているわけじゃないですけど、今も継続して注目してもらえている。自分にとってはすごくありがたいことです。そこで戦略ではないですけど、心がけていることがあります。いい時も悪い時も、すべてお話しをするということです。聞きたかったことをすべて聞いてもらって納得してもらう。アスリートとして、いい時も悪い時も、すべて話をする義務があると思っています」
そこで思い出されるのが"腹痛問題"だ。
2017年の福岡国際マラソンからMGCの出場権を獲得するために複数のレースに出場したが、毎回腹痛が起こり、今年の東京マラソンで出場権を獲得するまで苦しんだ。その間、腹痛の問題が再三取り上げられ、一時は「腹痛については話をしない」という方向も検討された。だが、神野は逃げずにその問題と向き合い、メディアの質問に答えてきた。
「僕には理想のアスリート像があって、それは『一番応援される選手になる』ということなんです。これだけ注目してもらっていますし、応援してもらうためにはありのままの自分を伝えていくことが大事だと思うんです。それに今の僕の実力からいって、いい時だけ発信できるような立場じゃない。悪い時もしっかり答えていくことで、いい時はその倍の応援をしてもらえるようになると思うんです。
練習がきつかったり、レースで結果が出ずに『もう無理かな......』って思う時があるんですが、そういう時の支えって自分を応援してくれる人たちの存在なんです。メディアが取材に来てくれてモチベーションが上がることもあります。ファンはもちろん、自分のためにもメディアは必要ですし、うまく付き合っていければと思っています」
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