神野大地が描くMGCまでの青写真。エチオピア合宿で得た気づきとは? (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Matsuo/AFLO SPORT

「今、基本的に3食摂っているんですが、それは栄養士さんにも言われ、僕も大事なことだとわかっているんです。でも、エチオピアって、そういう感覚がなくて朝起きて、少し補食してすぐに走りに行く。帰ってきてから食事するんです。

 それを見て、僕も朝は睡眠をたっぷりとって起きたタイミングで走りにいって、戻ってから食事でもいいかなと思いました。ポイント練習の時は時間どおりにやって3食摂った方がいいけど、ジョグの日まで時間に追われる生活をしなくてもいいかなって。『朝練習を終らせなきゃ』というストレスもなくなるので、少し柔軟に考えてみようと思います。それもエチオピア合宿を経験して思ったことですね」

 食事の摂り方について、もう少しフレキシブルに考える必要があるということなのだろう。同じことを継続することも大事だが、自分のスタイルを見つけていくことも重要なこと。従来のマラソンの強化方法にとらわれず、自分のやり方を模索しながら見つけてきた神野にとって、食事の摂り方も再考の余地ありと考えるようになった。それも今回の合宿での気づきのひとつだった。

 エチオピアに行く前、「実際に現場を見て、MGCの前の合宿地をケニアにするか、エチオピアにするかを見定める」と神野は言っていた。25日間の合宿でいろんなことが起きたが、果たして、その見極めができたのだろうか。

「トータルで考えるとケニアです。エチオピアでは質の高い練習ができましたけど、僕は速いランナーよりも強いランナーを目指しているし、タフな練習をして強くなっていくタイプ。質の高い練習よりも泥臭い練習を積み上げて力をつけていく感じなので、ケニアのアップダウンの多いところでジョグや距離走をしていた方が、フラットな環境が多いエチオピアよりもタフさを身につけることができる。なおかつ生活面も考えるとケニアがいいかなと思いました」

 もうひとつ、エチオピアに行く前に神野が語っていたのは、2700mの高地トレーニングから平地に戻ってきた時、短期間でどういう走りができるのか、体がどう反応するのか。それを2つのレースで試すというミッションだった。

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