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「マラソンに向いていないのかなぁ」
神野大地が苦しい胸の内を吐露

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sportiva

神野プロジェクト Road to 2020(25)

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 福岡国際マラソンで神野大地は2時間1928秒、29位という成績に終わった。懸念していた腹痛、さらに低体温症も発症し、最大の目標だったMGC出場権を獲得できなかった。完璧な準備を整えてスタートしたにもかかわらず、4度目の腹痛発症は、神野のメンタルに深い打撃を与えている。

3月3日の東京マラソンでMGC獲得を目指す神野大地3月3日の東京マラソンでMGC獲得を目指す神野大地 トレーナーの中野ジェームズ修一は、昨年の福岡から1年かけてその原因を探してきたが、まだその正体を突き止めることができていない。腹痛について改めて中野に話を聞いた。

―― 神野選手は25キロに痛みを感じてから、腹痛が起こらないように祈るばかりだったそうですが、現状ではその不安を抱えたまま走るしかないのでしょうか。

「なぜ腹痛が起こるのか。その原因はまだわかっていません。そのため、神野が今、腹痛を考えないようにして走ることは難しいでしょう。でも、そういう不安や問題は多くのアスリートが抱えていることもでもあるんです。ただ、彼らは何か起きた時の対処法を身に付けているんですよ。

 卓球の選手はミスすると『大丈夫』と頷く選手が多い。それは納得しているわけじゃなく、気持ちを切り替えるものなんです。こういうことは最初なかなかできないんですが、負けたり、悔しい思いをたくさんしていると、何とかしないといけないと考えるようになり、その術(すべ)を自分で探して見つけていくようになる。神野は、プロランナーとしての日がまだ浅いので、そこまで考えが及ばない。それを見つけて初めて普通のアスリートレベルになれると思っています」

―― マラソンを走る体をつくってきているのにもかかわらず、腹痛が足を引っ張ってしまう。神野選手はもちろん、中野さん自身も忸怩(じくじ)たる思いがあるのではないでしょうか。

「今回の福岡も『本当にフルを走ったの?』というぐらい筋肉痛がなかった。フルを走って余裕ができている体がつくれているのに、腹痛が起きてちゃんと走れないもどかしさは感じています。これだけ調べても内臓疾患はなく、でも原因がわからない。そうなるとメンタルのところに関わってくるのかなと思います。神野は、どうしても結果を出さないといけないという気持ちが強すぎるんですよ。そう思うから緊張するし、レースで力みが出てしまう。それが最終的に痛みとして出てきているんじゃないかなと思っています」

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