2018.05.24

日本陸上界に、あの「メダル候補」が
2年9カ月ぶりに帰ってきた

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 競歩20kmの世界記録保持者(1時間16分36秒)である鈴木雄介(富士通)が、2015年8月の世界選手権を恥骨炎で途中棄権して以来、2年9カ月ぶりのレースに復帰した。出場したのは、5月19日に行なわれた東日本実業団陸上男子5000m競歩。結果は20分06秒49で5位だった。

レース後、4位の谷井孝行と握手を交わす鈴木雄介 自身が持つ日本記録よりも1分29秒27遅かったが、それでも笑顔で久しぶりのレースをこう振り返った。

「とにかくキツかったですね。途中で止まりたくなりながらも何とか歩き切った感じです。2年9カ月休んでいたので、体がすごく重くて我慢するしかないレースでしたが、我慢をするレースができることがすごく幸福だったし、キツいということを体感できたのは幸せだったと思います。アスリートとして自分をどんどん追い込んで、キツくなるのを求めることが、この2年9カ月はできなかったので。そういうキツさや苦しさを逆に楽しめました」

 ある程度の練習ができるようになったのは昨年末からで、今も股関節周辺の痛みが完全になくなったわけではない。

 今回の5000mに向けてはスピード練習を多めにしてきたことで、速い時には1km3分50秒くらいのペースの練習もできるようになった。その上でこの復帰レースで目標にしていたのは、ついていく相手をしっかり選んで、20分くらいのタイムでゴールすることだった。

「最初は予定通りに先頭グループにつくことができましたが、松永大介(富士通)と髙橋英輝(富士通)がペースを上げた時に離れてしまって。それからは近くに野田明宏(自衛隊体育学校)がいたので彼に追いついて引っ張ってもらおうと思いました。3000mからキツくなって野田くんからも離れてしまったけど、欲を言えば4000mまでつけて、あとは粘るというレースまでできていたらと思いますね。ただ、レースプラン的には自分の考えていたようにいけて、順位も5位、記録も20分台ひと桁だったので、自分の中では上々の出来だと思います」