桐生祥秀が自分でもビックリ。
今季初戦の「大失速5位」は良い兆候?

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

観客を初戦から驚かせた桐生祥秀観客を初戦から驚かせた桐生祥秀 5月3日の静岡国際陸上男子200mの決勝で、観客は予想を裏切る結果を目の当たりにした。

 その主役となった桐生祥秀(日本生命)は「違う意味でビックリさせてしまいました」と笑った。昨年9月の日本インカレでは9秒98で観客を感動させた桐生が、今回は終盤の大失速で、ため息以上の驚愕をもたらしたのだ。

 前日の会見では「200mは前半からいって持てば速いけど、持たなければ平凡なタイムで終わるパターン。今回もそれでいきます。200mの走りとしては前半ゆっくりから後半を上げていくというのもありますが、それでは100mにつながらないと思うので。専門的には100mの方なので、200mの走り方がうまくなったとしても出だしのダッシュが遅くなってしまっては意味がない。そこは100mのダッシュの感じでいきたいと思います」と話していた。

 前日の練習は雨が降りだしたため、屋内走路に場所を移し、ウォーミングアップのあとに後輩の宮本大輔(東洋大)と一緒に短いスタート練習を1本走った。スタートはスムーズで、走りの動きにもキレがあった。

 土江寛裕コーチは「練習ではなかなか調子が上がってこなかったので心配をしていましたが、さっきの走りを見てやっと安心しました。やっぱり桐生は、試合になると気持ちも違ってくるんですね」と安堵の表情を見せていた。

 さらにレースに関しては「200mの走り方は2種類あって、明日は予選と決勝で前半からいく(パターン)と抑える(パターン)の、両方を試させたい」とも話していた。

 桐生は、これまであまり取り組んでいなかった200mをシーズン初戦に選んだ理由をこう話していた。

「200mは高3で出した20秒41の自己記録を4年間更新できていなかったので......。本当は去年の日本インカレで狙っていましたが、100mで9秒98を出したので200mは準決勝以降走らなかったというのもあった。これまでは200mだけを走るという試合もなかったので、100mの織田記念ではなく静岡の200mからシーズンをスタートして自己記録を出したいと話したんです」

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