ベテラン駅伝記者が「箱根の区間エントリー」から読む有力大学の戦略

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 12月29日に区間エントリーが発表された2018 年の第94回箱根駅伝。

 関係者の誰もが今回は本命という東海大は、1区に前回2区を走ったエースの關颯人(せき・はやと/2年)を起用し、前回は1年生ながらも1区で東洋大の服部弾馬に1秒差の2位になった鬼塚翔太(2年)を3区にエントリーしてきた。

前回の箱根駅伝で、まずは往路を制した青学大前回の箱根駅伝で、まずは往路を制した青学大 神奈川大の大後栄治監督は、東海大の優勝へのポイントを「關くんと鬼塚くん以外の選手の活躍だと思う」と話していた。2人を起用するなら当然エース区間。そこでは他大学も強い選手を起用するため、大きな差をつけるのは難しいからだ。

 ところが、区間エントリーで東海大は關を2区から外し、1区が有望だと考えていた鬼塚を3区に回した。鬼塚の場合は、全日本大学駅伝の1区で力んだ走りになり、区間9位と失敗をしたこともあるうえ、本人が下りを得意にして3区を希望していた。当然、3区起用はそこで他校とタイム差を稼ごうとする意図もあるだろう。

 逆に關を1区に起用したのは、そこまで調子が上がっていないためということも考えられる。11月の全日本では、まだトラックからロードへの移行が十分でなかったということもあり、主要区間の4区で区間6位という結果だった。その後、11月下旬の上尾シティハーフでは1時間03分12秒で大学生男子の部では5位になっているが、最初の5kmを14分43秒で入った留学生2人にはついていかず、14分57秒と14分59秒という無難なペースで入ってまとめた結果だった。

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